東京都中野区の酒井直人区長は18日の記者会見で、老朽化が進む中野サンプラザを解体する方針を正式表明した。
2024年頃、隣にある区役所とともに解体され、新たな中野の顔に生まれ変わることになる。住民や関係者からは様々な意見が聞かれた。

区は、築50年と老朽化した区役所を約100メートル北西に移転し、中野サンプラザと現在の区役所を解体した後、1万人規模のアリーナなどを整備する計画を進めてきた。
整備は民間事業者が担当し、区役所や中野サンプラザの跡地を売却したり、貸し付けたりして得た資金を、区役所の整備費に充てる枠組みだ。

 これに対し、酒井区長は6月の区長選で、「本当に1万人規模のアリーナが必要なのか検証し、区民と議論したい」と訴えて当選。タウンミーティングなどを開き、意見を聞いてきた。

 酒井区長はこの日の記者会見で、解体する理由について、

〈1〉開業から45年が過ぎ、存続は維持費の負担が大きい
〈2〉区役所整備の財源確保には跡地の売却・貸し付けが必要
〈3〉高齢者や障害者に優しいユニバーサルデザインの街づくりを目指す――

の3点を挙げた。

 酒井区長は「ホールではコンサートが多く開かれるが、音響施設の維持が大変と聞く。やはり、施設自体を更新する必要がある」と述べた。区は今後、アリーナの適正規模などを検討する。

 コンサート会場だけでなく、レストランやボウリング場、イベント広場がある中野サンプラザは、多くの区民に愛されている。

 ボウリングをするために訪れていた男性(66)は
「古さや不自由さは感じないが、耐用年数の問題もあって壊す必要があるのだろう 。駅前にコンサートやスポーツイベントに使える大きな施設があればうれしい」
と区の方針に理解を示す。

 一方、パート女性(36)は
「広場で開かれるイベントに子供とよく参加しており、愛着は深い。できれば残してほしい」と反対の立場。
「新しい施設は利用料金が上がるだろうし、身近な感じがなくなってしまうのでは」と話していた。

 ロック歌手で、中野サンプラザから芸名をつけたサンプラザ中野くん(58)にコメントをもらった。

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 「解体するなら俺が買いたい」というほど愛着があります。人生初のコンサート体験が中野サンプラザでした。1980、81年のアマチュアバンドコンテストの決勝もこの場所でした。

 地区のランドマークとして、住民に大仏様のような安心感を与えていると思います。しかし、駅前の一等地に大仏様が鎮座しているのも悩ましいところ。街づくりを考える皆さまの気持ちもよくわかります。

 そこで折衷のご提案。今よりも巨大な白い三角ビルを建てる。あるいは、アリーナの上に、小型の白い三角ビルを乗せるというのはいかがでしょう。名称も変わらないよう希望します。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20180918-OYT1T50112.html