北海道地震が引き起こした道内全域にわたる大規模停電(ブラックアウト)は8日、ほぼ解消された。
しかし、電力の供給可能量は平時を大幅に下回っており、平日の10日以降に需要が増えれば再び大規模停電が発生する恐れがある。
政府は「2割の節電」を呼びかけるほか、必要に応じて計画停電を実施する準備を始めており、停電回避に向けて綱渡りの状況が続く。

◇政府「2割節電」呼びかけ 計画停電も
「最大限の節電に努め、万一の場合に備えて計画停電の準備を進めることを決定した」。世耕弘成経済産業相は8日夜の記者会見で、政府の方針を表明した。
道内の使用電力の約半分を供給する苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(出力165万キロワット)が6日の地震によって緊急停止したため、
全域に及ぶ停電が発生。
苫東厚真の復旧には1週間以上かかる見通しで、北海道電力は自社の発電設備をフル稼働するほか、本州と結ぶ送電線を通じた電力融通なども含め
8日までに計約346万キロワットの電気をかき集め、同日午後11時時点の停電世帯は781戸とほぼ解消した。

それでも供給可能量は、地震前日(5日)のピーク時の電力需要の383万キロワットを下回る。
平日の10日からは工場の操業再開などで電力使用量が増えることが予想され、供給量を大幅に上回れば、再び需給バランスが崩れて
大規模停電を誘発する恐れがある。

政府は大規模停電を回避するために必要な節電量は、平常時に比べて約1割とみている。
しかし、世耕経産相が「2割」を要請するのは、老朽化した火力発電に故障などのリスクがあることに加え、
病院や下水道設備など節電が困難な施設も多いためだ。

北海道の高橋はるみ知事は8日、「週明けにさまざまな機関が稼働するだけに節電の呼びかけは待ったなし。総力を挙げる」
と道庁の災害対策本部会議で決意を示した。
すでに道庁内の執務室や知事公邸は緊急時以外は消灯しているという。道は炊飯器使用で、早朝に夕食分もまとめて炊くなどの節電術も呼びかける。
街中でも、札幌駅から大通駅まで延びる「地下歩行空間」は照明の明るさを通常の半分程度に落とした。道内の国道は約4万の照明の半分が消され、
272カ所のトンネルの照明も暗くしている。

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