<中小河川水位>住民に「直送」 逃げ遅れ防ぐ 政府検討

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180819-00000004-mai-pol


西日本豪雨で水害による人的被害が多発したのを受け、政府は中小河川に設置した水位計の観測情報を周辺住民に直接伝え、避難の必要性を判断してもらう仕組み作りの検討に入った。
行政の避難情報だけでなく、河川の状況もリアルタイムで知らせることで、逃げ遅れの防止につなげたい考えだ。【青木純】

 国土交通省などは西日本豪雨発生前の6月から、中小河川の状況を把握する「危機管理型水位計」の設置を全国で始めた。洪水の恐れがある場合にだけ観測を行う同水位計は、小型・低コストが特徴。
全国の同水位計を運用する一般財団法人「河川情報センター」によると、現在18都府県で186基が稼働している。国交省は2020年度までに全国5000河川で約5800カ所への取り付けを計画している。

 これらは現在、きめ細かく設置した同水位計が持つ観測情報を、携帯電話回線を通じてサーバーに集め、地方自治体などが随時チェックすることができるシステム作りを主眼としている。
しかし、西日本豪雨を受け、政府はこのシステムを活用して、洪水被害が発生しそうな地域の住民のスマートフォンなどに、観測情報を直接届ける検討を始めた。情報を伝える仕組みを構築するため、観測情報の蓄積▽観測情報を伝達する対象者・対象エリアの検討▽観測情報を避難に生かしてもらうための指針作り−−などを進める。

 災害への備えが進む大河川に比べ、中小河川は危険度や避難のタイミングを判断しにくく、今回の豪雨でも周辺住民の逃げ遅れが相次いだ。防災無線やテレビなどで繰り返し避難情報に接しても、自宅にとどまり被害に遭った人も多かった。
また、河川の氾濫後に避難情報が出て逃げ遅れるケースもあった。自宅近くの中小河川の状況がリアルタイムで届けば、危険度や避難のタイミングの判断に役立つ可能性がある。

 政府関係者は「行政から避難を促されても『自分は大丈夫』と思う人は少なくない。危険が迫っていることを具体的に知らせ、避難の必要性を住民一人一人に考えてもらえるようにしたい」と話している。