万能薬のように徘徊する「コミュ力」という妖怪 「近代型能力」あってこそ 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

「ポスト近代」のキーワードに

「巧言令色鮮(すくな)し仁」や「沈黙は金、雄弁は銀」などの言葉を耳にし、「沈思黙考」をよしとした世代には時代の変わり様が大きい。

そもそも以心伝心で成り立ってきた日本社会ではコミュニケーションに該当する日本語がなかった。だからマス・コミュニケーションのように
カタカナ使用だったが、日常用語としては今ほど使用されてこなかった。

ところが近年は、コミュニケーションが「コミュ」と略され、さらに「コミュ力」が生きる術(すべ)の要のように使用されている。
「現代日本に妖怪が徘徊(はいかい)している。コミュ力という妖怪が」とでもいいたいほどである。

https://www.sankei.com/column/news/170403/clm1704030005-n1.html