米国との対立を原因とする深刻な通貨安に見舞われているトルコの最大都市イスタンブールで、
欧米系の高級ブランド品店に外国人旅行者が押し寄せる事態となっている。
通貨リラが主要通貨に対する急落に商店側の価格改定が追いつかず、外貨ベースでは割安感が大幅に増しているためだ。

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高級ブランド店では入店待ちの行列ができた(14日、イスタンブール)

「シャネルのバッグを娘への土産にしたい。値段はサウジアラビアの半額だ」。
14日、最大都市イスタンブールの高級商業施設「イスティニエ・パーク」ではサウジから来たアリさん(61)が
上機嫌で買い物を楽しんでいた。

 シャネル、ルイ・ヴィトン、ディオールといった高級ブランド店でもアラブや中国からの旅行者が
朝からそれぞれ数十人単位で行列をつくり、入店の順番を待っていた。

 トルコが拘束する米国人牧師の解放を迫るトランプ米政権は対トルコ制裁を発動するなど圧力をかけているが、
エルドアン政権は米側の要求に応じていない。先行きへの不透明感が強まる中で
リラの対ドル相場は連日最安値を更新し、1週間で2割近く下げた。

 別のブランド店で働く、エンデルさん(34)によると「多くの店舗で(外貨換算後の)価格が35〜40%割安になった」と指摘。
「一部の店では商品がなくなったり、価格の改定が始まったりしているようだ」と明かした。

 外国人旅行者の「爆買い」や訪問増の裏側で一般のトルコ人は購買力の低下に苦しむ。
「売り上げは7〜8割減だよ」。
旧市街の観光名所グランドバザールの貴金属店では店員のムスタファさん(59)が苦境を語った。
贈答やタンス預金目的で人気のある金貨の価格は1週間で35%値上がりしたとされ「一般のトルコ人には手が出にくくなってしまった」と嘆く。
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34165770V10C18A8EAF000/