【産業医が診る働き方改革】
 喫煙者が吐き出す煙を吸わされる受動喫煙(二次喫煙)の弊害は定着しました。最近、別の場所で喫煙した人の呼気や衣服からのたばこ臭が話題になっています。
厚生労働省は「残留たばこ成分」と定義し、医学的には「三次喫煙」という用語が使われています。

⇒【画像】飲食店でのたばこ規制、どうなってる?

 4月、奈良県生駒市は喫煙後45分間、庁舎内のエレベーター使用を禁止しました。これは私たちの研究に基づいています。数年前、奈良県内の大学教授に
「喫煙後の息が何分ぐらいたばこ臭いか、調べてほしい」と依頼されました。屋内全面禁煙の企業に依頼し、(1)喫煙前(2)屋外で1本を喫煙直後(3)以後、
5分ごと−に喫煙者の呼気中の有害物質濃度を測定しました。

 喫煙直後は測定器が振り切れるほどで、喫煙前の濃度に戻るのに45分かかりました。これが生駒市の保健師に伝わり、今回の対策が決まったのです。
「やり過ぎ」との意見もあったようですが、市役所は誰もが訪れる場所です。喫煙直後の人とエレベーターに乗り合わせると、つわりの妊婦は吐き気、
化学物質過敏症や気管支ぜんそくの患者は発作の原因となり得ます。
 職場で考えてみましょう。近くの喫煙者が1時間おきに吸っていた場合、呼気は一日中たばこ臭い状態。それが上司なら「臭い」とはなかなか言えません。
三次喫煙は「快適な職場づくり」の妨げとなっています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180813-00010000-nishinpc-soci