ハンディを持つ人が使う多機能トイレの利用方法が混乱している。
車いす利用者向けに広がったが、その後、高齢者や乳幼児連れなどにも拡大しているためだ。
「だれでも」「みんなの」など名称が曖昧で、健常者の利用が減らないことも混乱に拍車を掛ける。
2020年の東京五輪・パラリンピックを前に整備が進む「だれでもトイレ」、一体誰のものなのだろう。
■あなたがなぜ?見かけで判断できず
「だれでもトイレ」の利用が増えた結果、車いすに乗る人が待たされることもある
東京・浅草の商業ビルでこんな光景に出くわした。
「もう20分も待っているんだけど」と漏らす車いすの男性。目の前の多機能トイレには車いすのほか、高齢者、オストメイト(人工肛門利用者)、ベビーカーなどの図記号(ピクトグラム)が並んでいる。
催促のノックから5分、ようやくドアが開いた。出てきたのは30代とおぼしき女性。待ちくたびれた男性に言葉もかけず、足早に立ち去った。
■密室ゆえに疑心暗鬼の不満たまる
障害者用トイレの本格整備が始まったのは1994年のハートビル法にさかのぼる。回転に広さが必要な車いす専用が先行。
2000年の交通バリアフリー法以降は「オストメイト、乳幼児連れなどに対応する多機能なトイレを目指すようになった」とバリアフリー設計に詳しい高橋儀平・東洋大学教授は解説する。
最新の多機能トイレにはオストメイト設備や介護用の折り畳みベッド、ベビーチェアなど盛りだくさんだ。
最近は車いすの高齢者を家族が介助するなど、「異性同士で使う男女共用の機能も加わってきた」(同)。男女共用が多いので、性的少数者(LGBT)が使うこともある。
現場の混乱は、多様な利用者を一手に引き受けた結果でもある。
追加導入された装置が邪魔になり「本来の車いす利用者が使いづらくなった」(齋藤理事長)との声も。
「だれでもトイレ」に健常者 必要な人にしわ寄せも
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180720-00000003-nikkeisty-bus_all