2015年の教員採用試験を巡り、事実ではない証言文書で名誉を毀損(きそん)されたとして、安慶田光男元沖縄県副知事が諸見里明前教育長に損害賠償を求めた訴訟の本人・証人尋問が10日、那覇地裁(平山馨裁判長)であった。
安慶田元副知事は試験で口利きした事実は「ありません」と改めて否定する一方、諸見里前教育長は「メモにあった受験生1人の名字などを覚えている」と証言の正しさを強調し、真っ向から対立した。
次回期日の9月18日に結審する見通し。
諸見里前教育長は、1次試験の結果公表後に副知事室に呼び出され、複数の受験生の氏名や受験番号が書かれたメモを渡され、「よろしく頼む」と言われたと証言。
メモははがきくらいの大きさの白無地の紙で、黒いペンで箇条書きされていたと詳述した。
メモの内容については、受験生1人の名字や校種(小中高などの区分)を覚えており、検察に話したことも明らかにした。
メモはその日のうちに平良勉教育指導統括監に見せて報告したとし、「今(なま)ぬ副知事や、でーじやっさー」と平良統括監に話したと振り返った。ほかに少なくとも2人にメモを見せたという。
現県教育長の平敷昭人氏は翌16年の試験で、安慶田元副知事から受験生4〜5人のメモを見せられ、「何とかならないか」との趣旨の言葉を掛けられたと証言。
「(不正な)働き掛けか判断しにくい」としつつ、「一般的にはそう思われるかも知れない」との認識を示した。
「有利な取り計らいを求められていると感じたか」との質問にも「そうだと思う」と述べた。
安慶田元副知事は、口利きについて「間違いだ。受験生すら知らず、依頼する動機がない」と主張。17年の宮古島や浦添、うるまの各市長選を控え、安慶田氏を失脚させることで「翁長県政や『オール沖縄』勢力にダメージを与えることが狙いだろう」などと述べた。
副知事の辞任理由については「マスコミが詰め掛け、公務に影響が出た。県政が停滞しては迷惑が掛かると考えた」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/281965
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