かつて世界を騒がせた「火星の人面岩」は、本当にエイリアンの手による人工物ではないか――そんな論文が今話題になっている。しかもその執筆者は、
大学の物理学教授やSETI(地球外知的生命体探査)に参加していた科学者といった、そうそうたる顔ぶれであるという。オルタナティブメディア「Collective Evolution」からお伝えする。

■人面岩をめぐる議論

 1976年、NASAの火星探査機バイキング1号が火星のシドニア地域で奇妙な物体を撮影した。それは長さ3km×幅1.5kmにも及ぶ巨大な人間の顔で、
周辺にはピラミッドなどの人工的な地形まで存在していた。NASAは「光と影の具合でたまたま顔のように見えるだけ」と発表したものの、古代火星人の遺跡だとかエイリアンが作った人工物ではないのかといった臆測が世界中に広まった。

 人面岩の正体をめぐる議論は白熱し、シドニアはその後の火星調査でも注目の的となった。だが、1996年にマーズ・グローバル・サーベイヤー、
2006年にマーズ・エクスプレスが撮影した鮮明な画像には、かつてバイキング1号が撮影したような人間の顔は映っていなかった。NASAは「人面岩は自然物である」という見解を改めて示した。


■人面岩は人工の構造物か?

 だが現在でも、人面岩は本当にエイリアンによる人工物であると主張する学者たちがいる。2017年に逝去した米・テネシー大学宇宙研究所の
元物理学教授であるホレイス・クレーター氏もその一人で、2016年には専門誌「Jornal of Space Exploration」に論文を発表し、
シドニアの地形が人工物か否か検証を行っている。そして最近、クレーター氏の論文共著者で米ソノマ州立大学の哲学科教授のスタンレー・マクダニエル氏と、
SETIプロジェクトにも参加するコンピュータの専門家アナンダ・シリセーナ氏らが今月、「Collective Evolution」に新たな論文を発表した。この論文には故クレーター氏も著者の一人として名を連ねている。

 論文では、これまでにNASAが撮影した人面岩の画像を改めて分析し直している。その結果、著者らは火星の人面石はNASAの主張するような自然物ではなく、
知的生命体の手による人工物であると結論づけている。その証拠として、人面岩の中には「眼球」と「歯」があることなどを示した。

また、論文の最後では「現在の宇宙探査は、近くにETがいないということを前提に行われていないだろうか」という疑問が呈されている。
エイリアンは地球の近くにはいない、そんな思い込みが我々を真実から遠ざけているのではないかという問題提起である。

 果たして火星の人面岩は地球外知的生命体が残したモニュメントなのか、それとも自然が作り出した造形物であり、顔に見えるのはパレイ
ドリア効果(壁や天井のシミが人の顔に見えてしまうような心理現象)に過ぎないのか。人面岩をめぐる議論は、まだ終わっていないようだ。

(編集部)

画像
http://tocana.jp/images/0628mars-4.jpg 
 

http://tocana.jp/2018/06/post_17351_entry_2.html