国際バカロレア、中学生に種まき
来春開校の広島叡智学園

広島県は大崎上島町に2019年春に開校する全寮制の中高一貫校「広島叡智(えいち)学園」について、中学生から海外の大学進学に備えた教育プログラムを展開する。高校卒業時に海外大学に進学する審査に使われる国際バカロレア(IB)の中学生向けの教育プログラム「ミドル・イヤーズ・プログラム」(MYP)を実施する。

広島叡智学園の中学校説明会には1064人が参加した(広島市の広島国際会議場)
17日、広島国際会議場(広島市)で学校説明会を開き、参加した親子らに説明した。

IBの教育プログラムは年齢ごとに4段階ある。これまで主に高校生対象の「ディプロマ・プログラム」(DP)の実施予定を示していた。主に中学生向けのMYPも早期に導入し、DPを円滑に始める。

いずれも国際バカロレア機構(本部スイス、ジュネーブ)からの認定を目指す。同学園は現在、最初のステップである「関心校」の段階だ。教員らが研修を受けるなどして「候補校」、「認定校」へとコマを進める。21年度中にDPの認定校を目指す。MYPは19年度中の候補校、早期の認定校入りを目指す。

日本の教育課程に基づいた各教科も学習しながら、英語を身につけて、MYPやDPをこなす。生徒の進路に見合った精緻なカリキュラムづくりや、自発的に学ぶ生徒への充実した支援、円滑で快適な寮生活などが学校の良しあしを決める鍵を握りそうだ。

19年春入学の1期生は高校1年生の冬にあたる22年の終わりころから、母国語(国語)以外は全て授業が英語のDPが始まる。同学園はそれまでに授業と放課後で5千時間の学習時間を確保する。毎週月、水、金曜日の放課後に外国人教員を中心に英語でスポーツや音楽、芸術をするなど生活全般で英語に触れる。

同日の説明会では小学生らの質問があった。「海外とのオンラインをつないだ授業とはどのようなものか」との質問に対して、林史校長は「社会問題を生徒が話し合い、課題解決に取り組むプログラムを考えている」と答えた。「休日の過ごし方は」との質問には「ゆっくりと自分を振り返る時間に」と回答した。

同学園は県外からも受験できる。学費(教材費や英語の外部試験検定料などを含む)と寮費(食費を含む)の合計は中学校で月5万円程度、高校は6万円程度。タブレット端末代や、海外での研修旅行の積立金は別途かかる。

入学者選抜では11月24日に適性検査と集団面接による1次試験を実施する。通過者のみ、12月25日から2泊3日の合宿でグループワークと個人面接による2次試験を実施する。いずれも英語は出題しない。出願方法や試験会場を含め、8月上旬に詳細な募集要項を同学園のホームページで公表する。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31914370Y8A610C1LC0000/