2018年6月、みずほ銀行の次期システム移行が開始したというニュースが話題になった。
金融機関にとって、情報システムは業務の根幹を担う重要な存在だが、みずほ銀行とは別に、
近ごろシェアハウスの不正融資問題で揺れるスルガ銀行にも、システム開発を巡る問題があったことはご存じだろうか。

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シェアハウス問題で揺れるスルガ銀行、日本IBMと訴訟の過去

スルガ銀行には、かつて昭和46年に導入し、30年以上にわたり利用してきた基幹システムがあった。

同行は当時、このシステム刷新の提案を日本IBMに依頼するも、結果としてプロジェクトは中断、どちらに原因があるのかを裁判で争うことになった。

最終的には、日本IBMがスルガ銀行に対して74億円あまりの支払義務があることが認められ、結果としては、スルガ銀行の主張が認められたという格好だ。

時系列で事件を整理すると次のようになる。

年月 出来事
2004年9月 パッケージ「Corebank」をベースに新システムを95億円で開発することに基本合意、要件定義が開始される
2005年9月 2008年1月に新システムの稼働を目指す「最終合意」を交わす。その後2回の要件定義を実施するが、要件確定に失敗する
2006年8〜9月 システムリリース時期の延期を日本IBMが提案するも、受諾されなかった
2006年11月 まで折衝を重ねて、「2008年12月にリリースとしましょう」との合意に至る
2007年4月 採用パッケージの変更を日本IBMから提案する
2007年7月 契約解除通知=中止となった

この一連の流れを読んで、「この人たちは、一体この3年間のなかで、実際になにかものを作ったのだろうか?」という疑問が生まれるかもしれない。

そう、この案件では一度たりとも「開発フェーズ」に着手していない。
ずっと「何をどう作るか」「いくらでいつまでに作るか」の議論をループさせているだけなのだ。

これぞまさに必要な作業が一切前に進まない負のスパイラルにはまった、目的地と進め方が決まらない漂流型プロジェクトである。

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