米、不法移民の「親子分断」多発=6週間で2000人−早期釈放停止が背景

 【ワシントン時事】米国を目指し不法越境を試みて拘束された親子が、当局によって引き離されるケースが多発している。
不法入国者を釈放せず、刑事責任を問うトランプ政権の厳格な方針が背景にあるとみられ、米各メディアによると、
国土安全保障省の当局者は15日、親と別々に保護された未成年の不法入国者が、5月末までの6週間で1995人に上ったことを明らかにした。

 不法入国者は治安状況が深刻なホンジュラスやグアテマラなど中米諸国出身者が多く、大半はメキシコ国境で捕らえられる。
従来は収容施設の不足を背景に、裁判官が送還の是非を審理するまでいったん釈放されていたが、そのまま出廷せず行方をくらませるケースが後を絶たなかった。

 トランプ大統領は4月、この早期釈放制度が不法移民増加を助長しているとして、停止を命じる大統領令を発令。
セッションズ司法長官は「不寛容」を唱え、拘束した不法入国者の成人は全員、刑事責任を問う方針を表明した。

 不法移民が子供連れの場合、親が拘束された子供は「保護者のない未成年」として厚生省の保護下に移り、親とは別に収容される。
AFP通信によると、メキシコ国境に近いテキサス州エルパソ近郊では、急増する子供を収容する大型テントが設置された。

 こうした状況に人権団体などから批判が噴出。14日のホワイトハウスの記者会見では、「法を執行しているだけだ」と言い張るサンダース大統領報道官に、
記者が「あなたも子供を持つ親だろう。人の気持ちが分からないのか」と詰め寄る場面もあった。

 トランプ政権は不法移民問題について「国境管理の抜け穴をふさぐ取り組みを邪魔する民主党が悪い」という立場だ。
トランプ氏は15日、記者団に「親子の分断を見るのは嫌だ」と述べた上で、国境管理を強化するための法改正の必要性を強調。
「私に連絡してこいと、民主党に伝えてくれ」と責任を押し付けた。(2018/06/16-16:59)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018061600427&;g=int