こんな捨て身で笑えるキャンペーン動画を、政府観光局が作っているとは。ニュージーランド政府観光局の「#getNZonthemap」
(地図にニュージーランドを載せよう)である。少なからぬ世界地図に自分たちの国が載っていない事実に憤慨するのではなく、
逆手にとってユーモアたっぷりのコメディーに仕上げている。3分間弱の動画にはジャシンダ・アーダーン首相本人も出演。
ニュージーランド出身の著名なコメディアン、リス・ダービーとの掛け合いで、なかなかの役者っぷりを見せている。
動画「#getNZonthemap」は、ニュージーランドが載っていない世界地図があると気づいたダービーが、いかなる「陰謀」の結果かを
突き止めようとする、という筋書き。5月2日にユーチューブやアーダーン首相の公式フェイスブックなどで配信された。
まもなく、英ガーディアン紙、米ニューヨーク・タイムズ紙など各国のメディアも電子版で紹介し、世界各地で話題を呼んでいる。
各種メディアに転載された動画まで含めると再生回数は1000万回を超え、5月23日には日本語字幕つきの動画も公開された。
「NZは面倒くさい形をしています。ちょうど半分食べかけのラムチョップのような形です。こんな国ありえないと思って地図から
外してるのではないかと……」。動画の中でダービーは首相に、こう報告する。
きっかけは観光局のチーフ・エグゼクティブ、スティーブン・イングランド・ホールさんが、出張先の米国シアトルでカフェに立ち寄った際、
壁にあしらわれた世界地図にニュージーランドがないと気づいたこと。観光局が調べてみると、遊園地などの地球儀オブジェや各種イラストなど、
ほかにも「消されたニュージーランド」が続々と見つかった。
ニュージーランドにとって観光は外貨獲得の稼ぎ頭で、国の経済を年間145億ニュージーランドドル(約1兆1千億円)も底上げしている。
それだけに、観光の呼び水ともなりうる世界地図から自国が抜け落ちていることは死活問題のはず。だが、「地図にないこと」をネタにして、
探してもらうことで注目を集めるとは、なかなかしたたかだ。
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https://www.asahi.com/and_travel/articles/SDI2018060599781.html