https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180531-00222000-toyo-bus_all

■文人たちが清遊した風雅な土地

 この鶯谷駅の山手線線路外側は江戸時代から、根岸の里と呼ばれた地域で、「日暮らしの里」=日暮里と隣り合う、文人たちが清遊した風雅な土地だった。

 山手線線路内側の崖上には徳川将軍家の菩提寺・寛永寺やその墓地が広がっている一方、線路外側の崖下は現在は見渡す限りのラブホテル街。
こんなに聖俗のコントラストがはっきりしている駅前風景は、東京という都市においてもめずらしい。

 私が中学生の頃だったと思うが、ラジオの深夜放送で「うぐいすだにミュージックホール」という曲が流行っていた。
関西の落語家・笑福亭鶴光が架空のストリップ劇場の司会者に扮して歌いあげる一種のコミックソングだったのだが、私はこの「ミュージックホール」が鶯谷駅周辺に実在するものだと、かなり最近まで思い込んでいた。
駅前のラブホテル群や昼間から営業している居酒屋街、生バンドが入っている都内随一のダンスホール「新世紀」の並ぶ街並みの中には、その伝説のストリップ劇場が潜んでいるはずだというある種の幻想を抱いていたのだ。

 この駅前のラブホテル街は、上野駅に近い立地のために、かつては、上京してきた出稼ぎや集団就職の人たち向けの旅館街だったとか。
しかし時代の変化とともに現在のような風俗街的なものになったということらしい。




https://i.imgur.com/RAIem16.jpg
https://i.imgur.com/kxTvtle.jpg