「納得いかねぇから控訴する」

 福井市で昨年8月、覚醒剤に見せかけた白い粉入りの袋を交番の前で落として逃げ、騒ぎを起こしたとして偽計業務妨害罪に問われた
被告の男(32)の判決。21日、福井簡裁で不服としていた略式命令と同じ罰金40万円を言い渡され、悔しさを隠さなかった。

 この日、被告は白い丸首のシャツに紺のスーツ姿で入廷。裁判官に「覚醒剤撲滅ではなく、面白い動画を撮って再生回数を上げるのが目的だ
った」と指摘された瞬間は身じろぎし、その拍子に足が証言台に当たって音を立てた。

 閉廷後、集まった報道陣に「うわ、いっぱいいる」と笑顔を向け、判決を「予想通り」と言う余裕を見せた。

 だが、「それならなぜ正式裁判を請求したのか」と問われると、「気にくわないから」と語気を強めた。裁判を振り返った感想を聞かれ
て「ノーコメント」と言い残し、大型バイクのエンジン音を響かせながら去っていった。

 ◆異例の所持品検査

 計5回の公判で簡裁は、傍聴者が法廷で動画撮影することがないよう<厳戒態勢>をとった。この日も法廷前に臨時の検査所を設けて、職員が
金属探知機で所持品を入念にチェック。スマートフォンなどの電子機器の電源が切れているかどうか確認していった。

 裁判官も毎回「携帯電話を手に取る動作をした場合でも、退廷を命じることがあります」と厳しい口調で述べた。

 だが、全公判を通じて実際に傍聴席を埋めたのは、ほとんどが報道関係者で、この日も空席が目立った。

2018年05月22日 10時53分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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