「タイムマシンで危険教えたい」両親失った女児、癒えぬ悲しみ タクシー突入事故初公判
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「ドラえもんがほしい。タイムマシンに乗ってあの時に戻り、お父さんお母さんに(危険が迫っていると)教えたい」。
目の前で両親を失った小学生の女児は、その日の光景に今も苦しむ。福岡地裁で10日に開かれたタクシー突入事故の初公判。検察側が読み上げた被害者遺族の供述調書では、癒えぬ悲しみが痛切に語られていた。

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 亡くなった花田盛幸さん、美佐代さん夫妻の親族の調書では「盛幸さんは正義感が強く、美佐代さんはいちずな人。お互いを思いやっていた」。親族は傷だらけだった遺体を思い返し「(当時小学2年生の)長女の成長を楽しみにしていた。人生を狂わせた被告を許せない。
最大の罪を与えてほしい」と求めた。事故を間近で見た長女については「あの時、お父さんお母さんに声を掛ければよかった」と自分を責めており、ショックもあって1人でバスやタクシーに乗れなくなったと明かした。

 遠藤一行さんの妻は、野球が好きで面倒見のよかった夫をしのび「(夫が)人を楽しませる姿を見るのが私の幸せだった。現実を受け止めることができず、最愛の夫を奪われて悔しい。真実を明らかにして責任を取ってほしい」とした。

 大けがを負った20代男性の父親は事故直後、息子が集中治療室に運び込まれた当時の心境を振り返り「何の罪もないのになぜこんな目に遭うのか。後遺症の可能性もあり、被告を殴り飛ばしたい気持ちになった」と憤りをにじませていた。

 法廷で松岡龍生被告は「(10人死傷した)客観的事実は認めるが、どうやって事故を起こしたかは分からない」と無罪を主張し、被害者への謝罪の言葉はなかった。傍聴席にいた関係者は顔を紅潮させながら、被告の姿をじっと見つめていた。