「バリバリバリバリ」。遠くからヘリの機影が姿を現す。まず近づいてきたのはUH1多用途ヘリ。
地面すれすれまで高度を下げると、水陸機動団の偵察中隊員4人が飛び降り、身をかがめながら駆け出した。
奪回作戦に先んじて隠密に潜入し、地形や敵情を解明するのが役割だ。続いて、AH1ヘリが上空から敵の戦車をめがけ射撃した−。

陸上自衛隊に新設された離島防衛の専門部隊「水陸機動団」の7日の発足式では、長崎県佐世保市の相浦駐屯地のグラウンドを占拠された離島と見立て奪回する訓練展示が、多くの報道陣が見守る中、公開された。
陸自初の水陸両用作戦が披露され、自衛隊の強化が進んでいることを示す場となった。

2機のヘリが編隊を組んで向かってくる。
陸自のCH47ヘリと在沖米海兵隊のCH53ヘリだ。ホバリングしたCH47からロープが垂らされ、隊員が続々と降りてくる。
CH53からも在沖米海兵隊員が出てきた。これに、今秋にも陸自に導入されるオスプレイも加わる。

水陸機動団は「日本版海兵隊」とも呼ばれ、発足前から海兵隊と共同訓練も実施し、ノウハウを学んでいる。日米の一体化が進んでいることを見せつけられた。

先に乗り込んだ部隊が敵の出足を抑える間に、島の端で白い煙幕が上がる。その中から姿を現したのが水陸両用車「AAV7」だ。
10機が地面の土を芝生ごと巻き上げながら上陸してきた。

「ドドドドド」。心臓に響くような鈍い砲撃音。
少しずつ敵陣に向け前進し、一定距離まで近づくと銃を抱え、顔を迷彩色に塗った隊員が降りてきた。地面に身を伏せながら、敵と銃撃戦を繰り広げ、ついに敵陣を制圧した。

デモンストレーションとはいえ、焦土と化す戦争の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。
水陸機動団は沖縄を含む南西諸島防衛が念頭にある。これが住民が住んでいる島で起きたら−と、背筋が凍った。(東京報道部・大城大輔)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/234443
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