増える熟年離婚の背景、夫の長生きは想定外だった 50代から始める「孤独死」対策:長尾和宏医師に聞く

定年後、のんびりと夫婦の時間を過し、将来設計を描いていた夫に突然、突き付けられた妻からの「解放宣言」。今まで家族のために仕事一筋だった中年男性が、生活習慣病の悪化に加え、ショックや孤独に耐えかねて「突然死」に至る。
別居、離婚、単身赴任・・・誰にも看取られず、数週間後に発見される「孤独死」となるケースも決して珍しいことではない。
厚生労働省の「人口動態調査」によると、平成28年婚姻件数は62万523組、離婚件数は21万6805組。前年よりも減少しているとはいえ、ざっくり計算しても3組に1組は離婚していることになる。

さらに、裁判所が提示する「婚姻関係事件数」(平成28年度)によると、離婚の申し立て総数は6万6494件で、夫が1万8135件、
妻が4万8359件と、妻からの申し立てが2.6倍超。その内容で男女ともに圧倒的に多いのが、「浮気」でも「経済力」でもなく、「性格の不一致」によるものである。

離婚件数が全体的に減少傾向にある中、同居期間が20年以上のいわゆる熟年夫婦の離婚件数は、全体の17%で3万7604組と、
昭和60年と比較すると1.8倍強、中でも70歳以上の夫婦の離婚が増加しているという。

――熟年離婚はなぜ増えているのでしょうか。

長尾和宏氏(以下、敬称略) 熟年離婚が増えている理由として考えられるのは、高齢化です。
昔は人間が結婚し、出産、子育てを行い、役割を終えたら、男性は50代、60代に寿命がきて死んでいくというのが普通でした。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52705?page=2