【寄稿】北朝鮮への先制攻撃を正当化する根拠
――筆者のジョン・ボルトン氏は米国の元国連大使で、現在は米研究機関アメリカン・エ
ンタープライズ研究所のシニアフェロー
***
平昌冬季オリンピックの閉会式とともに、北朝鮮が自らの核兵器・弾道ミサイル開発計
画から国際社会の関心をそらすプロパガンダ攻勢も幕を閉じた。ドナルド・トランプ米大
統領は先週、北朝鮮に対する追加の経済制裁を発表したが、その際、金正恩(キム・ジョ
ンウン)体制に対する米国の行動の「第2段階」は「非常に手荒いものになるだろう」と
はっきり予言した。
マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官は1月、北朝鮮が「数カ月」以内に核弾頭を米
国に到達させる能力を獲得するとの見方を示した。その脅威を排除する行動を起こすまで
に米国はどのくらい待機すべきなのか。
先制攻撃の反対派は、北朝鮮が「差し迫った脅威」に相当しないため、その行為は正当
化されないと主張する。だがその考えは誤りだ。脅威は差し迫っている。先制攻撃を認め
ない根拠は、核兵器・弾道ミサイル時代が来る前に考え出された規範の誤った解釈に基づ
いている。米当局が持つ北朝鮮関連情報の不完全さを考えると、われわれは最後の土壇場
まで待つべきではない。それでは北朝鮮が米国に到達可能な核兵器を保有した後、北朝鮮
を攻撃するリスクを負うことになり、はるかに危険な状況になる。
(略)
キャロライン号の基準は先制攻撃の議論でよく引き合いに出されるが、それは単に慣例
に基づく国際法だ。国際法は変わりゆく国家の実態に鑑みて解釈され修正を加えられるも
のである。現代ではイスラエルが既に、敵国の核兵器開発施設に2度の攻撃を加えている。
1981年にはイラクの首都バグダッド郊外の原子炉「オシラク」を破壊した。2007年には北
朝鮮がシリアで建設中の原子炉を爆撃した。
これは今日、弾道ミサイルに搭載される核弾頭の脅威についてわれわれがどう考えるべ
きかを示している。英国は1837年に木製の蒸気船に「炎と怒り」の先制攻撃を放った。北
朝鮮の核兵器がもたらす現在の「必要性」に対し、米国が先に攻撃することは完全に正当
である。
http://jp.wsj.com/articles/SB10677789349905104721204584074393806005538