「あの人の名前、なんだっけ?」「昨日の晩ご飯、何を食べたっけ?」「実家の郵便番号っていくつだっけ?」……。30〜40代にもなると急激に進む記憶力の低下。
「あれ」「それ」といった指示語で会話する頻度が増えるたびに、「もしかしてボケが始まっているかも」と不安になる読者も多いことだろう。
近年増加傾向にある若年性痴呆症は、決して他人事ではないのだ。はたして彼らはどのような兆候があり、現在どのような暮らしを送っているのか。現状に迫った。


アルツハイマー型認知症を発症
…平山正巳さん(仮名・65歳)兆候 40代中盤/発症 51歳

 散乱した荷物に囲まれ、異臭が鼻をつく部屋に一人住む平山さん。51歳のときに認知症と診断されるまでは、中堅企業の営業で腕を鳴らした。兆候は40代中盤から目につき始めたという。

「仕事が多忙で、スケジュールを把握できなくなった。仕事の予定をメモ帳につけても、メモしたこと自体を忘れてしまうんだよ」

 ダブルブッキングなんて当たり前、仕事のミスも増え、周囲から認知症の指摘もされたが、忙しさにかまけて病院には行かなかった。ところが、あるきっかけで診察を受けることに。

「女とエッチするじゃない? 終わると、パンツをはき忘れることが多くなって。それと、同じ本を何冊も買っちゃうことがあった。
週刊誌なんて、同じのを5冊も買ったことがあるよ。そうなると目の前に証拠がはっきりとあるから、自分でもヤバイなあって思い出して、病院に行ったんだよ」
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