大きな賭けだった昨年の解散・総選挙には勝利したが・・・
 森友学園への国有地売却の決裁文書が改ざんされた問題で、安倍晋三内閣の支持率が急落し始めた。週末に実施された日テレ系、
朝日新聞、毎日新聞、共同通信の4社の世論調査はいずれも支持率が急落し、不支持率が支持率を上回った。

 支持率が最も低かったのは日テレ系で、30%割れぎりぎりの水準まで落ち込んだ。支持率は、30%を割れば危険水域、20%を割れば政権維持は困難と言われる。
退陣がとりざたされかねない水準が視野に入ってきたといえる。実際、第一次安倍内閣の場合は、退陣時の支持率は30%をちょっと割った水準(毎日新聞で29%)だった。

 森友文書の改ざん問題は、19日に集中審議をしたうえで、佐川前理財局長(前国税庁長官)の証人喚問の方向になっている。いまだ自民党内に消極論があるし、
せめて参考人でという議論もあるというが、改ざんという「ウソ」をついた最終責任者なのだから、嘘のつけない証人喚問のかたちで話してもらうしかないだろう。

 佐川氏が何を語るのか、それはわからない。首相官邸の誰かや、財務省の別の幹部からの働きかけがあったことを明かしたり、動機が昭恵夫人を守るためだったと語れば、
事態は大きく進展する。しかし、現実的には「刑事訴追を受ける可能性がある」という、証人喚問のお決まりのセリフで、多くは語られないと見た方がいいだろう。

 新事実がでれば安倍政権には決定的な打撃となるが、佐川氏が語らないことも政権には効いてくるだろう。隠すほどの圧力がかかっているように見えてしまうからだ。
白けたテレビショーになればなるほど、内閣支持率は下がっていくだろう。

 安倍首相は今後、目立ちやすい外交日程が続く。5月とされる米朝首脳会談を前に、4月に訪米しトランプ大統領を会談する。
ずっと懸案になっている日中韓首脳会談の東京開催も4月中に可能になるかもしれない。

 さらに、日朝首脳会談にも意欲的とされる。拉致問題の解決に道筋がつくなら、大きい。いずれも日本にとっては大切なトップ会談だが、
首相の胸のうちに支持率にプラスになればという気持ちもないわけではないだろう。

 政権の危機を外交で打開できるだろうか。

 公文書の改ざんは虚偽公文書作成罪か公文書偽造(変造)罪にあたる重い罪だ。特に決裁文書のような有印公文書の場合は、罰金刑がなく、1年以上10年以下の懲役刑になる。
重い罪であるだけに佐川氏や実際に改ざんを実行した官僚にはあまりにわりが悪い犯罪だ。

 それだけに、官邸の関与が証明されなくても、有権者は「首相を守るためだったのだろう」と疑ってしまう。改ざんという嘘を、首相のためならつくのか。
その衝撃の大きさと根深さは、まっとうな政策で切り抜けられるほど生易しくはないだろう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180320-00010000-socra-pol&;pos=1