激しい内戦が続くシリアから日本に逃れてきた男性4人が難民と認めるよう求めた裁判で、
東京地方裁判所は「迫害のおそれがあるような事情は認められない」として、全員の訴えを退けました。
原告の1人は「日本の裁判所は全く理解してくれない」として控訴する考えを示しました。

シリア人の男性4人は、民主化運動に参加したため迫害されるおそれがあるとして6年前に来日し、
人道上の配慮から一時的な在留を許可されましたが、難民と認められなかったため、裁判を起こしました。

判決で、東京地方裁判所の林俊之裁判長は、原告の1人がシリアで反体制のデモに参加していたことは認めましたが、
「政府から取り締まりを受けた証拠など迫害のおそれがあるような客観的な事情は認められない」などとして、別の原告1人とともに訴えを退けました。
残りの2人についても、裁判の途中で出国したことから訴えを退けました。

原告の弁護士によりますと、出国した2人は別の国で家族と暮らすため日本を離れたということです。

判決のあと、原告のユーセフ・ジュディさん(34)は「このような判決では、世界中のシリア人が難民ではなくなってしまいます。
町の多くが破壊され化学兵器さえ使われる国から逃げてきた状況を、日本の裁判所は全く理解してくれない」と述べ、控訴する考えを示しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180320/k10011372601000.html