2016年8月のある日、エリック・ストームさんは、動画が撮れるアクションカメラ「GoPro(ゴープロ)」を、
2012年に溶岩が流れたときにできた割れ目に設置した。ストームさんは過酷な条件下の撮影には慣れていて、
カメラを岩と岩の間にはめ込み、溶岩流に向ける配置も、それまで何百回と経験済みだった。

だがこのときは、溶岩の流れがいつもより速かった。

ストームさんは火の女神ペレについて旅行者に話しているとき、うっかりカメラのことを忘れてしまった。
そして間もなく、大地の割れ目から炎が上がっているのが目に入った。設置したGoProが燃えていたのだ。
「意図的に溶岩の通り道に置いたわけでは決してありません」とストームさんは話す。

「400ドルの授業料でした」

女神ペレは創造と破壊をつかさどる神としてあがめられている。
このときの出来事は、まさにその象徴といえるかもしれない。

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ストームさんのGoProは焼けてだめになったが、ハンマーを使って溶岩の中から取り出すと、
岩が冷えていく間に映像を回収することができた。カメラ本体は20分ほど経つと革手袋で
扱えるくらいまで冷えたので、タオルでくるんで持ち帰ったという。

動きはゆっくりだが、溶岩は1100℃を超えることがあり、ほとんどどんな物でも溶かしてしまう。
「活火山を訪れる人には、その場所に敬意を払い、溶岩に触れないようお願いしています」と
ストームさんは話している。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27401530W8A220C1000000