平昌五輪フィギュアスケート男子シングルで五輪連覇を成し遂げた羽生結弦。歴史に残るフリー演技で使用された楽曲に注文が殺到し、レコード会社がCDの追加生産に乗り出す事態になっている。
ショートプログラム(SP)のクラシック曲や、競技後のインタビューでお気に入りと答えた曲の人気も過熱。音楽業界は「氷上のプリンス」がもたらした突然の“バブル”に沸いている。

 羽生は、歴史的な快挙を達成した18日のフリープログラム「SEIMEI」で、平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、安倍晴明をイメージして優美に演じた。
 会場に流された音楽はその世界観を表現しており、「和」の雰囲気を基調にモダンな旋律を取り混ぜた美しいメロディーだった。
 この楽曲は、映画音楽やテレビドラマの音楽を数多く手がける作曲家、梅林茂によるものだ。
狂言師、野村萬斎が晴明を演じた人気映画「陰陽師」(01年)、「陰陽師II」(03年)の劇中曲として作られ、15年に「オリジナルサウンドトラック『陰陽師』コンプリート」としてCDが発売された。
 CDは2枚組で全50曲が収録されており、羽生の演技にはそのうち「荒ぶる神」「五芒星(ごぼうせい)」など7曲が編集され盛り込まれている。

 「演技で使われた音楽でも、感動が広がればうれしい」
 陰陽師のサントラ盤を発売しているソニーミュージックの担当者も喜びを隠せない。
 羽生の金メダル獲得後、全国のCDショップなどから約2000枚の注文が殺到。このCDを特集した同社のサイトは先週に比べて約300倍のアクセスとなり、CDの追加生産に乗り出した。
 音楽配信サイトでもランキングが急上昇している。レーベルゲートが運営する「mora」のリアルタイムのアルバムランキングでは前週(10〜16日)、100位圏外から4位(20日午前10時時点)へと一気に伸びた。
 ダウンロード数は17、18、19日の3日間だけで前週の50倍に達した。同社によると、17日の羽生の演技終了後、徐々にダウンロードが増え、メダル獲得後はテレビで羽生の演技が取り上げられるたびに順位を上げているという。

http://www.sankei.com/pyeongchang2018/news/180220/pye1802200033-n1.html
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