(CNN) 米連邦地裁は14日までに、ニューヨーク市クイーンズ地区にあった落書きアートの聖地「ファイブ・ポインツ」を巡り、
ビルのオーナーに対して落書きアーティスト21人に総額670万ドル(約7億2000万円)を支払うよう命じる判決を言い渡した。
高級マンション建設に伴う取り壊しのため壁に描かれた作品を白く塗りつぶしたことがアーティストの権利の侵害に当たるとしている。
ファイブ・ポインツはクイーンズ地区の倉庫街にあり、世界中から観光客が訪れる名所として知られていた。
12日の判決では、作品の所有権を問わず一定の基準を満たしたアーティストの法的保護を定めた連邦法の「ビジュアルアーティスト権利法」に基づき、
ファイブ・ポインツを構成していたビルのオーナー、ジェフリー・ウォルコフ氏がアーティストの権利を侵害したと認定した。
原告側弁護士はこの判決について、「ファイブ・ポインツの文化的重要性と、原告21人によって制作されたエアロゾルアートの価値が、芸術として認定された」と評価している。
ファイブ・ポインツの建物は、ウォルコフ氏が2002年にオーナーになって以来、アーティストによる壁画や落書きを許すようになり、
観光ガイドブックもニューヨークの文化を代表する名所として紹介。音楽ビデオや映画、テレビ番組のロケにも使われ、ファッションショーの舞台にもなっていた。
ところが2013年11月19日、同地を再開発して高級マンションやアートスタジオなどを建設する計画をウォルコフ氏が発表。ほぼ全ての作品が、突如として白いペンキで塗りつぶされた。
判決の中でフレデリック・ブロック裁判官は、ウォルコフ氏に自分が所有するビルを取り壊す権利があることは否定しなかった。
ただ、アーティストに予告することなく作品を塗りつぶしたことに問題があったと判断。
「ファイブ・ポインツは有名な観光名所であり、(事前に告知していれば)最後の別れを告げるために大勢の人が集まっていたことは間違いない」と指摘している。

https://www.cnn.co.jp/showbiz/35114690.html
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