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夜も明けきらぬ早朝、明かりが漏れる店舗から談笑する声が聞こえてくる。八戸市中心街から少し離れた類家縄手下で、今年も南部せんべいの早朝喫茶が営業を再開した。
1月を除いて、休みなしに朝5時から8時まで店を開くのは、近所でせんべい店を経営する上舘一雄さん(70)だ。【塚本弘毅】
上舘さんが作るのは「てんぽせんべい」。外側がぱりっとして中はもちもちとして柔らかい。
昔ながらの一枚一枚を手で焼く、鉄製の「手焼き型」のなせる業だ。現在は、ほとんど手がける人はいないという。
焼きたてのてんぽせんべい(50円)とコーヒー(200円)、そしてなじみ同士の談笑を求めて、開店前から客が訪ねるほどの集いの場になっている。
常連は年配者が多いが、「一日のスタートはここから始まる」と口をそろえる。
喫茶前の道路両側では、約8年前まで「片町朝市」が開かれていた。上舘さんは、朝市に参加した27年前から喫茶を続けている。
午前4時ごろから準備し、「店が閉まっていれば寂しいだろうと思って休まない。みんなと話をするのが楽しい」と話す。
自宅から徒歩で約15分の差波秀雄さん(75)は「いつものメンバーと会うのが魅力。せんべいもうまい」とコーヒーを手にする。
自営業の田面木ゆき子さん(70)は「上舘さんもいい人だし、人と話をするのが好きなので」と毎朝のように通う。
上舘さんは「気張ったところはなく自然の流れで続ける」つもりだ。今朝も「おはようございます」と、店のガラス戸を開け、お客さんが入ってくる。