トヨタ自動車が最上級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」を一部改良して、1月8日に発売した。国内市場ではこのカテゴリーで敵無しの販売好調な2台。
一方で、郊外のいわゆる「マイルドヤンキー」が乗る定番の「ヤン車」として敬遠する向きもある。より豪華で快適になった新型に試乗して、売れる理由と嫌われる理由を探った。

 アルファードとヴェルファイアは、3ナンバークラス大型ミニバンの兄弟車。フロントグリルの造形を作り分けて、アルファードはトヨペット店、
ヴェルファイアはネッツ店で販売される。2台をまとめて俗に「アルヴェル」とも呼ばれる。かつてトヨタ「クラウン」のライバルだった日産自動車の兄弟車「セドリック」「グロリア」が「セドグロ」と呼ばれていたのと同じ用法だ。日産の「エルグランド」やホンダの「エリシオン」(国内販売は終了)など競合を押しのけ、国内大型ミニバン市場で7割超のシェアを誇る。

■マイルドヤンキーの厚い支持

 このほど一部改良されたのは、2015年1月に発売された3代目(後から投入されたヴェルファイアとしては2代目)。
バンやセダンとのシャシー共用を避けて専用プラットフォームを用意する贅沢(ぜいたく)な設計で、先代に比べて乗り心地を大きく改善している。迫力と押し出しの強さでマイルドヤンキー層の支持が厚い一方で、政財界VIPや芸能人らが黒塗りセダンや高級輸入車から乗り換えて愛用する姿を目にすることも多くなった。

 実車に近づくと、その迫力に圧倒されて後ずさりしそうになる。ただでさえズシリとして大きい車体に、通行人や対向車をにらみ付けて威嚇するような、いかついフロントグリル。
「中身の進化を表現する、分かりやすい外観を」(開発責任者の吉岡憲一主査)という理由で、改良前に比べてメッキ部分の面積が増えた。
そのギラギラ感と鋭角につり上がったヘッドライトは、
獰猛(どうもう)な肉食獣を連想させる。輸出先の中国や東南アジアでも、このいかつい顔が好まれるという。

 恐る恐る乗り込むと、安楽な乗り心地と広々とした室内空間に不満らしい不満は見つからない。あらゆる部分に、「乗員ファースト」とでも呼ぶべき居住空間優先主義が貫かれる。




2018年2月1日11時13分
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL1Y4GFPL1YUEHF007.html