(1)は、女性が結婚相手の男性に高収入を求めることも背景にあるが、女性は結婚したり子育てしたりすると稼げなくなるので、そうならざるを得ないのが現実だ。<図1>は、正社員の既婚者・未婚者の年収カーブを男女で分けて見たものだ。
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男性では未婚者より既婚者が高いが、女性は逆になっている。未婚者のカーブは男女でほぼ同じだが、既婚者では差が大きい。結婚がキャリアに及ぼすインパクトは、男女で全く正反対に作用していることが分かる。

男女の収入格差の是正や、保育所の増設など、女性の社会進出を促す条件を整える対策が必要とされている。

(2)については言わずもがなだ。日本の教育費は非常に高く、通常のコースでも、子を大学まで出すのに1000万円以上の費用がかかる。子を持てるかどうかが、経済力とリンクするのは当然だ。

「結婚・出産なんてぜいたく」。こういう社会は、いかにもおかしい。「貧乏人の子だくさん」という言葉があったように、日本も戦後初期の頃まではそうではなかった。自営業や家族従業が多く、
子は労働力と位置付けられ、今とは違い高校・大学進学率も低く、教育費もかからなかった。

生活環境が変化した現在では、当然のように国の支援が必要となる。教育の無償化は、子育て世帯の教育費(支出)の軽減策だが、その一方で子育て世帯の収入を増やす施策も欠かせない。
児童手当のような支給型に加え、夫婦二馬力で稼げるようにする政策だ。

その一つが保育所の増設(保育士の待遇改善)だが、昨年末に公表された「新しい経済政策パッケージ」を見ると、この部分は蔑ろにされている。保育士の月収を3000円程度上げるだけでは、「焼け石に水」でしかない。