「日本人は仕事熱心」という常識はもはや過去のものかもしれない。
 米調査会社のギャラップが昨年公表した、仕事への熱意(エンゲージメント)についての国際比較によると、
日本で「仕事に熱意を持って積極的に取り組んでいる」従業員の比率は全体の6%。調査した139カ国のなかで132位と、最下位級にとどまった。

 ほかの調査でもほぼ同様の結果が出ている。与えられた仕事を指示通りにこなす受け身の勤勉性はそれなりに高いものの、
自ら主体的に仕事に取り組む姿勢に欠ける現状は非常に心配だ。

 働き手の熱意の低い職場から目の覚めるようなイノベーションが生まれないのは自明だろう。
 企業業績と社員の熱心さの間には強い相関関係があることも知られている。日本企業の収益力が低い一因は社員の熱意不足ではないか。

 仕事の「やらされ感」が強まれば、不祥事や労働災害も起こりやすくなる。
 政府が旗を振る生産性革命も、個々人が旧態依然の仕事ぶりを改め、新たな働きかたに挑戦しようとしなければ、絵に描いたモチに終わる。
 各人の熱意を引き出し職場を活性化することは、各企業にとっても日本全体にとっても待ったなしの課題である。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO25406090V00C18A1EA1000/