◇「意思表示すれば」作品販売ストップ

 AVは、一度出演すれば、引退後も作品が配信され続け、さらに編集を重ねてオムニバス版が発売される状態だった。
現役時代だけでなく、引退して結婚、出産してからも、周囲にAVに出ていたことが知られてしまうリスクがあった。

 今後、肖像権及びパブリシティー権の利用は撮影日から5年6カ月、もしくは販売日から5年になる。
女優が「5年で配信を止めてほしい」という意思表示をすれば、作品は販売・編集されなくなる。意思表示をしなければ、肖像権は1年ごとに更新される。

 ただし、女優が自ら申告しなければ、作品は削除されない。さらに、女優は作品ごとに意思表示をしなければならない。
5年後、女優に通知がいくのか、いくとすれば、どのように通知が届くかは未定。
意思表示の方法は、ウェブサイトにフォームを作るなど、詳細を検討しているところだ。
このルールが適用されるのは、4月1日以降にメーカーと出演契約を交わした作品に限られる。

 新ルール適用前の作品については、4月からは本人が申し出れば削除できるようになる。
「結婚するから」「社会生活に支障が出るから」などの理由があれば、削除の申請ができるようになる。
女優本人が同機構に申し出て、同機構が本人確認をし、確認が取れればメーカーに通知する。
複数の女優が出演する作品についても、一人が削除要請をすれば、作品は消えることになる。新ルール適用後の作品で5年以内のものも同じ手続きになる。

 ◇「何度も引き返す機会を」

 これまでAV出演者に広く入会を促してきたAVANのあり方も変わる。
今後は、AVについて説明を受け、それでも出演したいという固い意思を持った女優だけが登録できるようになる。

 川奈さんは「AVANに登録した後、出演作のオファーを受けたら、改めてメーカーやプロダクションから内容について説明を受け、台本を確認した上で、
本人の自由意思で出演に同意するかを決める。時間の余裕を持って出演当日を迎え、撮影現場でも危険を感じることがあれば、
ただちに撮影を中止するのが適正AV業界の規則」という。
「実際に撮影するまでに何重にも女性の自己決定権を守り、何度も引き返す機会を設けることで、被害を未然に防ぐ仕組み。
被害防止と出演者の権利尊重のために、気を引き締めて取り組んでいきたい」と話している。