日本テレビのみなさまへ、生活保護についての悪意のある番組放送はやめてください
番組で紹介された2件の事例

番組では、愛媛県松山市と埼玉県加須市での事例が紹介されていました。

松山市の事例は、取材をしたのは昨年10月。病気で働けないという一人暮らしの30代の女性。匿名の通報で調査を開始し、風俗の仕事をしているという疑いが。
家の前で数日にわたり取材陣とともに張り込み尾行。Gメン(担当ケースワーカーではない人達)が夜に働きに出る女性を直撃し、後日、面談。本人は働いていることを認める。
その後、一時生活保護を外れるも、体調を崩し半年後に再度生活保護になるが、現在はまた生活保護ではなくなっているとのこと。
加須市の事例は、同じく取材をしたのは昨年10月。体調が悪く働けないという一人暮らしの60代の男性。大家から家賃の滞納をしているとの連絡があり調査を開始。滞納額は2年間で100万円以上にのぼるという。

滞納した分のお金の使い道は、宗教団体への寄付や、新聞を3紙とっている、宅配の牛乳、自転車や書籍、ネコのエサ代などの支出がかさんでしまったということ。大家からも立ち退きを求められていることもあり、いわゆる無料低額宿泊所(施設)に移ることに。

以上が、放送された番組を見る限りでの事例の内容なのですが、正直、こういった放送を内容することの意味、それから取材の手法に疑念があります。
張り込みや尾行をするのは職権の範囲内なの? そして、取材陣の同行は許されるの?

松山市の事例で気になったのは、風俗の仕事をしているという疑いがある女性に対して、数日にわたり、HP等で出勤時間を確認し、家の前で張り込みし、
彼女が出てきたら尾行していること。そして、実際に数軒のホテルに出入りし仕事をしたであろうことを確認している。

もちろん、「不正受給」は悪質な場合は詐欺罪で告訴することができる。しかし、この段階ではまだ告訴しているわけでも、本人に直接話を聞いたわけでもなく、
放送された限りでは、匿名の通報のみでここまでのことをしている。これは、職員の職権の範囲でやっていいことなのだろうか。

生活保護をめぐる番組放送は丁寧に
これは、日本テレビのみならず、他のテレビ各局や新聞、雑誌等のメディアにかかわる多くの人にお伝えしたいのですが、生活保護をとりあげるときは丁寧な取材をしてほしいということと、
当事者への配慮はもとより、安易に誤解や偏見を招かないような工夫をしてほしいということです。
また、生活保護への誤解や偏見が拡がってしまうと、必要な人が支援を利用することへの心理的な妨げになる可能性もあります。
特に、今回の番組では、個室のブースのなかでの面談の様子が撮られていたり、張り込みや尾行などが取材陣とともにおこなわれており、プライバシーへの配慮について大きな懸念を感じました。

正直に言って、一般の人に対して(しかも重大犯罪を起こして逮捕状が出ているなどでもなく)、ここまでするのかと驚くとともに、悪意を感じました。

「ずるい奴ら(番組タイトルより)」にはここまでやっていい、という考えが透けて見えるようで、そのことは明確に批判したいと思います。https://news.yahoo.co.jp/byline/ohnishiren/20171224-00079667/