「取り返しのつかないことをした」。夫は静かな法廷でうなだれた。大阪府東大阪市の自宅で4月に妻=当時(35)=を暴行して死なせたとして傷害致死罪に問われた大工の男(37)の裁判員裁判が11月、大阪地裁で開かれた。約20分間に及んだ犯行を「一方的で卑劣な暴行」と非難した検察側に対し、
弁護側は「日常的なDV(ドメスティックバイオレンス=配偶者間暴力)はなかった」と主張した。その結果、地裁は被告に執行猶予付き判決を言い渡した。夫の暴行により妻が死亡するという衝撃的な事件。裁判所が実刑判決を言い渡さなかった理由とは。

■「I LOVE YOU」のネックレス

 公判資料によると、被告と妻は平成16年、被告がプロポーズし結婚。大工として独立したころで、翌年には長男が、2年後には次男が生まれた。

 「ささいなけんかはあったが、夫婦仲はよかった」と被告は振り返った。順調に進むと思われた生活。だが今年3月、2人の歯車が狂い始めた。

 この月上旬、妻はリビングでストーブやテレビをつけっぱなしで寝ることがあった。被告は何回も注意をしたが、直らなかったといい、約1カ月後、口論の末に被告が家を出て、別居が始まった。被告は離婚届を書き、妻に渡したが、話し合った末、元通りの生活を続けることにした。

 弁護人「関係修復のため、どんなことをしたのか」

 被告「和歌山県の神社にお参りにいきました」

 神社で2人でおはらいをしてもらったという。翌日、被告は自宅に戻った。そのとき、妻の首元に見覚えのないネックレスがかかっているのに気づいた。ネックレスには「I LOVE YOU」という文字が入っていた。


http://www.sankei.com/west/news/171208/wst1712080068-n1.html