「先送り」から「先取り」の時代へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24179980R01C17A2MM8000/

平成が2019年4月末で終わる。何度も危機に見舞われた停滞の時代である。
1945年以降の昭和が復興と高度成長の時代だったのとは対照的だ。

経済の停滞は金利の動きで明らかだ。長期金利は改元の翌年秋、8%台のピークを付けた。
その後は急坂を転げ落ちるように下がり続け、山一証券などが破綻した97年に1%台に突入した。
以後20年、超低金利がすっかり定着したのである。

停滞が続いた理由は何か。不良債権問題が典型だが、政府も銀行も企業も、
問題解決を「先送り」し、無駄に時間を費やしたからではないか。

地価がまた上がるという希望的観測に頼ったり、自らの責任を免れるために痛みを伴う解決に
逃げ腰になったり。結局、金融危機から脱出するのに平成の前半15年間が、まるまる消えていった。

後手に回って傷を広げる事例はほかにもある。少子化がそうだ。
「出生率1.57ショック」は90年のことだが、その後も対策が微温的なものにとどまったために、
05年の1.26まで出生率は下がり続けたのである。

企業も、冷戦崩壊による中国の台頭やデジタル化への対応で出遅れた。
電機メーカーで相次ぐ経営不振はその象徴といえる。(後略)