●誰もがネットリンチの加害者になりうる
――刑罰については?

刑法上、個人のプライバシー侵害行為、たとえばインターネット上に個人の情報をばらまく行為も、刑罰が科される対象とすべきと思います。具体的には、個人の住所、電話番号、同意を得ないで盗撮した写真などをばらまく行為です。
マスコミも含めて議論があるところだと思いますが、こういった行為が生活の平穏を害している事実は看過されるべきではなく、刑罰の対象にすべきだと思っています。

いずれにせよ、現実的には、刑法や検索エンジンへの法的規制はハードルが高いと思いますので、一番に発信者情報開示のところで法改正されるべきだと思っています。

――プロバイダ制限責任法がつくられてから16年をむかえる。

もはや「古い法律」といえます。インターネットは技術的な進歩が早い分野です。それなのに、プロバイダ責任制限法は、基本的なところがほとんど変わらず、現実の問題に対応できていない部分が出てきている。おかしいと思いませんか。
国が制度を大きく変えない限り、法的な対応が不十分にしかとれず、一生解決しないと思います。

――ネットリンチに加担している人が「ふつうの人」というのは?

これまで、ネットリンチの加害者と話をする機会がありました。「ふつうの人」でした。そのことについても世の中に知ってもらいたいと思います。ネット炎上・ネットリンチの加害者に「ふつうの人」がなってしまうのです。つまり、誰もが加害者になりうるということです。

――どう伝えていくか?

学校教育の一環で、ネットリテラシーを教えられるようになればいいと思っています。「あなたはネットリンチの加害者になりますよ」という授業があってもいい。そういう犯罪に陥らないように、教育の面でも、ネットの危険性が伝えられるようにしていきたいと思います。

(弁護士ドットコムニュース)