ネット炎上やネットリンチの問題がきわめて深刻だ。東名高速道路で夫婦が死亡した事故をめぐっては、ネット上で「容疑者の勤務先」とされた企業に1日100件を超える嫌がらせの電話が殺到するなど、無関係の人にまで被害が広がった。こうした状況について、
5年にわたりネットリンチのターゲットにされている は、新たな法制度の必要性を説く。

 はこれまで、ネット上に膨大な数の殺害予告が書き込まれているほか、職場に嫌がらせの電話やカッターナイフが届いたりする被害にあっている。11月13日放送のNHK「クローズアップ現代+」に被害者の1人として出演し、現行法を変えるべきだと訴えかけた。
メディアにほとんど顔出ししていなかった彼が伝えたかったことは何か。唐澤弁護士にインタビューした。

●顔をさらすリスクがあったとしても
――どうしてテレビに出演するようになったのか?

昨年出演した「ニュースウオッチ9」では、この問題について非常に理解があり、深刻であるという認識を共有してくれている方が関わっていました。単発の企画でなく、しっかりと社会に訴えていきたいという考えを持っていました。今回の「クローズアップ現代+」も、その方に関与していただきました。

顔を出すことを決断したのは、顔をさらすというリスクがあったとしても、それ以上に社会に認知されて、ネット炎上の現状と解決策について考えてもらうきっかけになったらいいと思ったからです。

――テレビ出演で変化はあったか?

ネット上では、相変わらず誹謗中傷がつづいています。私の問題も含めて、まだまだ知っている人は多くありません。1回、2回の放送で、大きく変わるわけではないと考えています。

――番組で伝えたかったことは?

大きく3つあります。1つは、ネット炎上やネットリンチが野放し状態で、悲惨な被害を生んでいること。そして、その被害を生んでいる現状に対して、今の法制度が対応できていないこと。最後は、ネット炎上やネットリンチに加担している人のほとんどが「ふつうの人」であることです。