神を信じていながら、同性愛者である自分の存在は神に否定されている――。
高校生のころには自死を考えるほど追い詰められた。
けれど、「本当の自分を知ってほしい!」という本能的な叫びを力に、親友に汗と涙を流しての初めてのカムアウト。
以降、友人や家族に告げていき、「同じような境遇に苦しむ人の力になりたい」と、日本ではキリスト教で初めての、カムアウトした男性同性愛者の牧師となった。
 
この日は、そんな彼の濃厚な半生の中から甘酸っぱい恋愛話がいくつか披露された。
細部までユーモラスに語るので、こちらは友人の恋バナを聞いている気分になってくる。
トークショーのような授業が終わるころ、平良さんへはもちろん、ゲイに対する親近感まで芽生えていた。
 
平良さんが授業を受け持ってからの十数年で、セクシュアルマイノリティに対する学生の反応は大きく変わった。
 
「10年前には『ゲイの人を初めて見ました』という学生がたくさんいましたが、今はほとんどいません。
履修の動機を聞くと『LGBTの友人のことを理解したくて』という答えが確実に増えました。
セクシュアルマイノリティの絶対数は変わらないはずなので、それだけセクシュアリティを隠さずに生きられている人が増えてきたのだと思います」
(平良さん・以下同)
 
学生からは、「ゲイだからといって別に人に迷惑をかけていないからいいと思う」という意見もよく出る。
 
「でも、そもそも迷惑をかけるってそんなにいけないことでしょうか。
迷惑をかけることで初めて『この人はこういうことに困っていたのか』と問題に気付くきっかけになる場合も。
だから僕は『人に迷惑をかける人間でいたい!』とよく言っています(笑)」