社会人にも大人気の大学講義…講師は日本初の「ゲイ牧師」 | 女性自身[光文社女性週刊誌]
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女性を思わせる優美な名前の持ち主、平良愛香さん(49)。
キリスト教の牧師である彼が、東京・立教大学で行っている「キリスト教学講義」の授業が、学生はおろか社会人も聴講しにくるほどの超人気だという。
評判が評判を呼んで『あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる』(学研プラス・11月23日発売)という本まで出版されることに。
 
“お堅い”“地味”という印象のあるキリスト教学の授業がモグリまで出るほどの大人気……?
この不可解な実情を探るべく、記者は授業に潜入した。
 
授業開始10分前に到着すると、300人収容の学内でももっとも広い教室の1つが、すでに学生たちでいっぱいだ。
本年度の後期1回目の講義はこんな自己紹介から始まった。
 
「こんにちは、平良愛香です。名前を見て、女性と思われた方がいるかもしれませんが、このとおりヒゲの男性です」
 
その素朴でおだやかな語り口と柔和な存在感にふれ、教室の空気が一瞬でほぐれた。
講義は、新たな性倫理を考えることをテーマに、ジェンダーやセクシュアリティについて、特にキリスト教がどのような影響を与えたかを半年かけて学ぶというもの。
 
初回の講義から黒板には「SEX」や「男色」など性に関する言葉が書かれ、ジェンダーとセクシュアリティの違いや、それらを表す用語の説明がつづく。
「ゲイ」「オカマ」「ホモ」という言葉の違いを学生に答えさせたり、学生自身も知らずに持っている差別意識を認識させたり。
必ずリアクションペーパーを書いて提出するのもこの講義の特徴だ。
 
講義が一段落すると「ここから少し、僕自身の話をします」と、自分史を語り始めた。
 
平良さんは1968年、沖縄生まれ。
両親ともクリスチャンで、父は牧師だ。
珍しいその名前は、民族の自由や誇りを奪われたイスラエルの民が歌った“哀歌”と沖縄の歴史を重ねて付けられた。
自分が同性愛者だという自覚を持ちながらキリスト教的価値観の中で暮らすことは、彼にとってきわめてつらいものだった。
キリスト教世界では「神はゲイを許していない」という価値観が一般的だ。
聖書に「同性愛は罪」と書いてあるといわれるからだ。