通信大手3社の2017年4〜9月期連結決算はそろって増収増益だった。
好調の要因は各社各様だが、主力の携帯電話事業では顧客の流動性が大幅に低下。
通信モジュールを除いた解約率は大手3社とも1%を下回る「安定期」に入った。

 かたや、大手3社を苦しめていた格安スマホはここにきて失速が著しく、
総務省が近々予定する有識者会議でどのような支援策を打ち出すかが注目となる。


大手3社は守りを固め、順調そのもの

 NTTの営業利益は、前年同期比5.3%増の9752億円。
減価償却方法を定率法から定額法に変えた影響で分かりにくいが、
長距離・国際通信事業(NTTコミュニケーションズやディメンションデータ)、
米デルのITサービス部門を取り込んだデータ通信事業(NTTデータ)の好調が目立った。
移動通信事業(NTTドコモ)は減益だったものの、下期に重点を置いた計画で想定通りである。
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 KDDIの営業利益は同1.9%増の5425億円だった。
通信ARPA(アカウント当たり月間平均収入)、コンテンツ系サービスなどで構成する付加価値ARPAともに前年同期比で伸びた。
格安スマホの影響で契約者(au契約者数)の目減りは続くが、2017年7月に投入した新料金プランで顧客の流出阻止に大きな手応えを感じているようだ。

 ソフトバンクグループの営業利益は同35.1%増の8748億円。
国内通信事業は顧客基盤の拡大に向けた先行投資で減益だったが、
米スプリントによるコスト削減や投資ファンド(SVF:SoftBank Vision Fund)の評価益が増益に大きく貢献した。
同社は様々な投資先との「同志的結合」によるシナジー最大化で成長を図る方針であり、
通信事業者としての業績の比較はもはや意味がなくなってきている。



大失速の格安スマホ、総務省の次の一手
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