「着エロ」という新語が誕生したのは、2002年頃とされる。携帯電話から鳴る「着メロ」をもじり、
「着衣のエロチシズム」を表わす言葉として生まれ、やがて大ブームを巻き起こした。

これを受けて着エロ専門のDVDメーカーも次々と誕生。さる大手メーカーは、忘年会で招待者全員に
「末等でも任天堂WiiかiPod」の豪華なビンゴ大会を振る舞うほど、莫大な利益を上げていた。

決して本人が名乗ったわけではないが、熊田曜子、井上和香、小倉優子、佐藤江梨子、安めぐみ
といったトップグラドルまでもが、なぜか着エロのカテゴリーに入れられてしまうほど、強大なブランドとなった。

原則としてヌードという一線は越えることなく、バストトップを隠し、Tバックなどを基本としていたが、
やがて「シースルー乳首見せ」など、着エロは過激の一途をたどる。だが、この“グレーな線引き”こそ
着エロの腕の見せどころであり、プロデューサーやカメラマン、スタイリスト、そしてモデル本人も
アイデアを出し合った。

 「葉っぱで乳首と股間を隠す」

 「砂でまぶしたら?」

 「乳首の上に乳首そっくりのシールを貼ったら、これはヌードではない」

そんな熱論が現場で繰り返され、モデルを「半ば強引に」納得させながら、限りなくヌードに近い攻防戦が
繰り広げられていった。すべては脱いでいないからこそ、「その薄布1枚の先が見たいんだ!」という男の
妄想を、着エロは見事にかき立てていったのだ。

やがて、過激になりすぎたあまり、摘発される事態も発生。また、明らかに「AV女優への一里塚」になり、
ジャンルそのものが存在感を失ってしまった。インパクトとしては「あのアイドルがAVに!」という
最短コースに太刀打ちできない。

現在も着エロという表現は消滅したわけではないが、もはやかつての勢いと輝きはない。

https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12180-614157/