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大阪府摂津市のごみ焼却施設「市環境センター」で働く現業職員8人が2014〜16年度、実際には働いていないのに残業手当を受け取る「カラ残業」をしていた疑いがあることが、内部資料や複数の関係者への取材で分かった。
市は、夜間の運営を委託している民間業者との「引き継ぎ」名目で1日30分の残業を認めていたが、実際には残業前に引き継ぎが終わっていたという。市は勤務実態がなかった疑いがあるとして調査を始めた。

 センターには、焼却炉が2基あり、24時間体制でごみを焼却している。市は職員減少などに伴い、14年度から夜間帯(午後5時〜午前9時)の運営を民間業者に委託している。


市職員の勤務時間は条例などで午前8時45分〜午後5時15分の7時間45分(休憩45分間)と決められている。ただ、業者と交代する際に引き継ぎが必要だとして、朝15分間、夕15分間の時間外勤務(残業)を3年間認めることが、14年2月の労使協議で決まった。

 民間委託に伴う給与減の緩和措置という。残業手当は法律に基づいて割り増しされる。

 この結果、センターの現業職員は書類上、残業30分間を含み、午前8時半〜午後5時45分の8時間15分(休憩計1時間)働いたことになっていた。

 しかし、複数の関係者によると、実際の引き継ぎは職員8人のうち、主任など2〜3人で行い、トラブルがなければ数分間で終了。
夕方の引き継ぎは午後5時前に終わり、タイムカードを押す5時45分まで休憩室などで待機していたという。

 ある職員は取材に、「やることがないのに待機しろと言われ、おかしな話だと思っていた」と証言。
別の職員は「タイムカードさえ押せば手当が出る仕組みだった」と明かす一方、「備品の在庫を数えるなど、自分なりに仕事を見つけていたつもりだ」と釈明した。

 14〜16年度のセンター長2人は取材に対し、「主任から出される時間外勤務命令簿とタイムカードを見比べてはんこ(決裁印)を押しただけ」などと話し、
残業の実態を把握していないことを認めた。30分間の残業を認める制度は今年度からなくなった。

 市の内部資料によると、残業手当は1人あたり年間約20万〜50万円で、3年間で総額約700万円に上る。
ある幹部は「実態はカラ残業だ。全庁で残業削減に取り組む中、許されない」と批判。大橋徹之・市長公室次長は「待機だけでは残業とは認められない。実態を調べる」と話している。
【遠藤浩二】