慰安婦問題に関して「拷問禁止委員会」が出した勧告が波紋を広げています。日韓合意を見直すべきだとする内容で、日本政府は22日に反論文書を提出しました。
慰安婦問題をめぐっては、過去にもいろいろな国際的な委員会から勧告が出されています。なぜこのような勧告が続くのか。その位置付けは。日本はどう対応するべきか。
元外交官の美根慶樹氏に寄稿してもらいました。

今度は「拷問禁止委員会」 慰安婦問題で日本に「勧告」が続くのはなぜ?

国連の「機関」は人権理事会のみ

 「拷問禁止委員会」は5月12日、2015年12月の慰安婦問題に関する日韓合意について「見直すべきだ」とする勧告を含む「最終見解」を公表しました。

 拷問禁止委員会とは、1984年に国連総会で採択された「拷問禁止条約」に基づいて設置された委員会で、慰安婦問題を審議する「場」の一つです。専門家によって構成されます。

 この他、国連人権理事会、国際労働機関(ILO)、女子差別撤廃条約(に基づく委員会)、国際人権規約「自由権委員会」「社会権委員会」、
人種差別撤廃委員会などでも慰安婦問題が取り上げられており、全体の状況は非常に複雑ですが、いずれの「場」でもほぼ定期的に審議の結果が公表され、
関係国に対して「勧告」が行われます。これには法的拘束力はありませんが、
無視したりすると次回の会議ではもっと厳しい「勧告」が行われる恐れがあり、強い力があります。

日本の何が問題視されているのか?

 来る6月にはILOの会議があり、11月には国連の人権理事会で日本に関する審査が行われ、
慰安婦問題が取り上げられるのは確実です。そして来年以降も多数の「場」で慰安婦問題が審議されます。

 今回の勧告について、日本政府はすでに反論をしたと報道されていますが、内容は分かりません。いずれにしても
、日本政府はこの際、日本の対応について足りなかった点はないか、あらためて検討すべきではないでしょうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170524-00000009-wordleaf-pol&;p=2