不祥事の系譜

 2023シーズンからFAでオリックスに移籍した森友哉(27)は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化していた2020年4月、球団から「外出および外食禁止」の通達が出ていた最中に、初対面の女性を自宅に招き入れ、家事をやらせた上、セクハラまがいのマッサージをさせたことを写真週刊誌「FLASH」に報じられた。

 同年8月に明るみに出たのは、佐藤龍生(26)のスピード違反。球団が全てのチーム関係者に自宅待機および不要不急の外出禁止を定めていた期間中の4月12日、チームメイトの相内誠(28)と2人で千葉県内のゴルフ場に向かい、制限速度60キロの首都高速道路を、89キロオーバーの149キロで走行していたことが判明。佐藤と相内は無期限の対外試合出場停止とユニフォームの着用禁止処分を受け、佐藤は同10月、懲役3か月、執行猶予2年の判決を受けた。

 この時、同乗していた相内は「房総のダルビッシュ」と呼ばれ、2012年のドラフト2位で入団。仮契約後の同年12月、仮免許運転違反とスピード違反が発覚し、通っていた学校から無期限謹慎処分を受け、新入団選手発表会見にも出られなかった。その後、保護観察処分となり、心を入れかえてと思ったのも束の間、2014年には未成年でありながら飲酒・喫煙問題を起こし、またもや処分を受けた。その後、引退し、今は格闘家などで活動している。

 他にも昨年は19歳の選手2人による飲酒、喫煙、ネットナンパ。さかのぼる事2007年には、銀行のATMに忘れられていた3万円を置き引きしたとして、上本達之(42)=当時は捕手、後にコーチ=が窃盗容疑で書類送検されている。

名門チームがなぜ? 

 西武といえば、1982年のリーグ初優勝以来、86年シーズンからの森祇晶監督(86)時代は、リーグ優勝8回、日本一6回という、圧倒的強さを誇った名門球団である。それが、近年では優勝・日本一から遠ざかるだけでなく、不祥事が相次ぐ球団になってしまった。その原因はどこにあるのか? 

「一言でいえば、怖い人がいなくなったからですよ」

 というのはベテランスポーツ紙記者。

「西武が強くなったのは、規律を重んじてチームを統率した広岡達朗監督(91)からです。広岡さんというと、食事管理や禁酒・禁煙など私生活の管理が知られていますが、選手が目の前にいても、会話などコミュニケーションはコーチを通して取るなど、上意下達を徹底させていました。次の森監督は、広岡さんのような厳しさを前面には出しませんでしたが、コーチがしっかりと現場を押さえていましたから」

 後に、落合博満氏(69)の右腕として中日の黄金時代を築く森繁和氏(68)は、88年に西武で現役を終えると翌シーズンから二軍投手コーチに。

「ご本人も、元野球選手のYouTubeに出た時に明かしていますが、態度や素行の悪い選手には鉄拳制裁も辞さない厳しいコーチでした。その代わりに、ただ怒るだけでなく、その後のフォローもしっかりしていたので、森さんを慕う選手は今でも多いのです」(前出・スポーツ紙記者)

 また、相手投手のクセを見抜く天才で「走塁の鬼」としてだけでなく、名三塁コーチとしても知られた伊原春樹氏(74)、バッティングコーチとして清原和博氏(55)を育てた土井正博氏(89)ら、厳しい指導者だけではなく、選手の中にも鬼軍曹がいた。

「強い時代の西武は、投手の工藤公康氏(60)や現・西武GMの渡辺久信氏(57)など、明るく“新人類”と呼ばれたチームカラーでした。でも、リーダーの石毛宏典氏(66)はカメラの前では明るく陽気ですが、裏ではしっかり選手を叱ったり注意したりと、厳しい先輩でした。前監督の辻発彦氏(64)も同様で、野球への取り組みや考え方など、プロ野球選手として必要なあらゆる要素を伝授していました。だから一見、チャラいようでいてチームはしっかりとまとまっていて、あれだけ強かったのです」(前出・ベテラン記者)

 しかし、上述したかつての名選手がのちに監督になると、自身の現役時代とは真逆のチームになるのは不思議なところではある。

「監督はチーム、球団、マスコミなど全体を見ないといけませんから、現役の勢いのままチームを仕切ろうとするのは無理があります。だからこそ、監督・コーチと選手の間に立って、現場を仕切る、鬼軍曹的な立場の中堅・ベテラン選手が必要なんです。今のライオンズには“いい人”はいるでしょうが“怖い人”がいない。あの人を怒らすとマジでヤバい――そういう存在は、プロ野球チームでなくても、どんな組織にも必要なのではないでしょうか」(同)

デイリー新潮編集部

全文はソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/39e8915081109cae1eef07bae6994ee6d8fb22e5