コロナ禍で無観客試合が行われていたのは今や昔だ。

 今季のプロ野球は全12球団がノーマスクの声出し応援を認めて開幕。8日からコロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことに伴い、例えば阪神は9日から入場時の検温など感染症対策を基本的に解除すると発表。球界はいよいよコロナ前の平時に、ほぼ戻る。

 約3年に及ぶコロナ禍の間、コロナ対策や観客数制限などにより、ファンが現地観戦するハードルが上がっていたのは事実だ。このところ日本ハムの新球場の観客数が話題になっているが、各球団の客足は戻っているのか。コロナ前の2015〜19年と今季を比較すると、意外な結果が見えてきた。

 もっとも観客数が減っているのが楽天だ。昨季はホームで32勝39敗と負け越し、本拠地の現・楽天モバイルパーク宮城でシーズン終了まで8連敗。リーグ4位に低迷した。今季も日本ハムと下位争いをし、7日は直接対決に敗れて最下位に転落。いくら球場のパイが小さいとはいえ(最大3万508人)、チームの体たらくが客足に響いているとみられる。

 ワースト2位は巨人。先月18日(火)、19日(水)は最大収容人数が少ない長崎と佐賀で主催したことで数字を下げているものの、この2試合を除いても1試合当たり3万9033人で同92%。昨季は4位で、今季も開幕直後に5連敗を喫するなど、中日と最下位争い。ファンも原野球に対して不信感を募らせている。

 そして同3位が日本ハムだ。新球場元年にもかかわらず、最大収容人数3万4000人に対し、3万人超えは開幕カードの3試合のみ。GW中でさえ、最高で2万6761人にとどまった(6日)。アクセスの悪さや、球場内の飲食物などの強気な料金設定がアダになったとみられる。就任2年目の新庄剛志監督(51)が昨季、勝敗を度外視した采配でぶっちぎりの最下位に沈んだことに不満を抱くファンも少なくない。

 一方、観客数を大幅に増やしているのがDeNA、ヤクルト、ロッテだ。首位を走るDeNAは19年から20年にかけてウイング席を増設、収容人数が約5000人増の3万4046人になったことも奏功したようだ。

 ヤクルトは昨季、リーグ連覇を達成したことに加え、村上宗隆(23)が史上最年少で三冠王を獲得したこともデカい。

「球団の昨季のグッズ売り上げは断トツでした」とはヤクルトOBだ。

 ロッテは昨季完全試合を達成した佐々木朗希(21)が底上げしている。今季登板した平日4試合の平均動員数は2万7189人。1試合平均2万5623人を大きく上回っていることからも明らかだ。 

 まだ開幕したばかりで数字は週末開催日の割合などで左右されるとはいえ、客足が遠のく楽天、巨人、日本ハムの逆襲はなるか──。

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