東洋経済オンライン 12/7(水) 5:41

 明るい話題に沸く2022年の映画界。コロナで止まった洋画配給の本格復興に位置付けられた今年は、邦画洋画含めて興収100億円を超える作品が4本(最終興収見込み作を含む)と歴代2番目に多い年になるとともに、秋までの興収で前年比140%の好推移。年末年始の正月興行を前に、市場規模をコロナ前に戻すかのような勢いを見せている。

 しかし、その裏側を見ると喜んでばかりはいられないようだ。中クラスのヒット作が減少する“ヒット格差”は広がり、従来の制作構造から抜け出せない邦画実写の大規模公開作は時代の流れに取り残されつつある。いままさに映画界は、これまでの業界常識やヒット方程式が通用しない、コロナ以降の課題とジレンマに直面している。

■100億円超え4本は歴代2番目

 12月に入った時点で今年の映画興行を振り返ると、コロナ禍の一昨年から昨年にかけて日本公開がストップしていたハリウッドの大型シリーズ作品をはじめとする洋画が相次いで公開され、洋画復興と位置付けられる年であったことがまずトピックとして挙げられる。そのなかからは『トップガン マーヴェリック』(135億円)のような大ヒットが生まれ、コロナで映画館から足が遠のいていた年配層の映画ファンが戻ったことが映画界の明るい光となった。

 だが、1年の終わりが近づいてみると、もっともエポックメイキングだったのは、興収100億円超えが4本と記録的なヒット本数が生まれた1年になったことだ。過去を振り返ると、100億円超え作品の年間歴代最高は2004年の5本。それに次いで2019年と2022年が4本だった(表参照)(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

 今年の4本は歴代2番目。加えて、邦画の本数で見ると、2004年は1本、2019年は2本だが、2022年は3本と史上初の最多本数を記録する年となった。1年の締めくくりとなる正月興行はこれからだが、まるでコロナの2年間の苦境を払拭するかのように今年の映画界が勢いづいていたのは間違いない。

 大ヒットは生まれたが、年間興収ではどうか。1~10月までの興収は前年比140%ほどで推移している。そのあとは、11月は最終興収150億円前後が見込まれる『すずめの戸締まり』(12月4日時点で75.9億円)があり、12月の『THE FIRST SLAM DUNK』も幸先の良い出足を見せている。

 正月興行でどこまで年間興収が伸ばせるかによるが、2021年の1618.9億円を大きく上回るのは間違いなさそうだ。10月までの勢いを継続できれば、2000億~2200億円台がひとつの目安になるだろう。

 コロナ禍に突入した2020年(1432.9億円)から2021年、そして2022年と上昇カーブを描いて市場規模を回復させている。まさにコロナからの復興を遂げているわけだが、コロナ前との比較ではどうなるか。

 2010年以降の年間興収は上昇基調にあり、2014年から2018年は2000億~2300億円台を推移している。かつては日本映画市場は2000億円前後と言われていた。それを踏まえれば、今年はコロナ前の平時まで戻したとも言えるだろう。

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