あの男が〝球界復帰〟だ。元中日投手コーチの門倉健氏(49)が、野球評論家として再スタートを切ることになった。中日在籍時の昨年5月に突如として姿を消した「失踪騒動」は記憶に新しいが、紆余曲折を経て現在は埼玉県内で運送業の職に就いているという。そんな門倉氏が、このほど本紙に〝決意表明〟。再び表舞台に踏み出すことを決めた理由とは…。
 東スポ読者のみなさま。門倉健です。その節はお騒がせいたしまして、大変申し訳ありませんでした。中日ドラゴンズのみなさまにも、ご迷惑をおかけしました。

 私は今、実家のある埼玉で運送業の仕事をしています。知り合いの方の紹介で昨年の12月ごろから働かせてもらっているのですが、私を拾ってくれた社長はもちろん、職場の方々もみないい人で、笑顔で迎え入れてくれました。あんな騒動を起こしてすっかり枯れ果てた、私のような人間にも水を注いでくれて「門倉さん、がんばっているね」「門倉さん、いつかまた、野球界に戻ってよ」などと毎日、笑顔で声をかけてくれる。本当に感謝しかないです。必死になって仕事の勉強をする日々は今も続いていますが、そんな時に東スポさんから声をかけていただきました。

 でも正直言うと、今でも不安な気持ちだらけなんです。あんなことがあって体調を崩し、うつ病になって引きこもっていた時期もありました。ネットでは事実ではないことを書かれ、さらにうつになりました。今は体調面の問題はまったくないのですが、表に出ることによって、またいろいろ言われるんじゃないか…。実際、今でも昔の野球仲間たちとは、ほとんど連絡を取っていないし、というより怖くて取れないのが実情です。でもいつかは勇気を持って出て行かなきゃいけないし、自分のしでかしたことは真摯に受け止めるしかないんです。

 私はやっぱり野球が好き。機会があるなら野球のお仕事がしたいとずっと思っていました。曲がりなりにも一応プロでやっていたわけですし、野球の面白さや深さを伝えていきたい。もう、いろいろ言われるのはしょうがない。腹をくくって一歩踏み出そう。そう決めました。

 間もなく始まるセ・リーグのクライマックスシリーズでは、私の古巣のDeNAと阪神が対戦します。かつての同僚の三浦監督にも頑張ってほしいし、矢野監督は僕の東北福祉大の先輩で、バッテリーも組んだことがあります。どちらも応援したいし、私なりの視点で試合を見させていただければと思っています。

 読者のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

【門倉氏失踪の経緯】

 2021年5月15日 中日二軍の練習を無断欠席。自宅には財布、携帯電話が置かれたままだった。

 5月16日 家族が愛知県警に捜索願。

 5月20日 中日球団に同日付の消印で「一身上の都合により退団させてもらいます」との退団届が郵送される。家族に本人直筆のものか確認。家族にも「突然のことでごめんなさい」との手紙が届く。消印は横浜市。

 5月26日 中日球団が退団届を受理。公表。

 5月28日 家族がテレビ局の電話取材に応じ「早く帰ってきてほしいです」。

 6月7日 門倉氏が6日夜に自宅に戻ったこと、医師にうつ病の診断を受けたこと等を、家族が門倉氏のオフィシャルブログで報告。

 7月28日 門倉氏が自身のユーチューブチャンネルで謝罪動画を配信。

☆かどくら・けん 1973年7月29日生まれ。49歳。埼玉出身。右投げ右打ちの投手。聖望学園から東北福祉大に進み、1995年のドラフト会議で中日から2位指名されプロ入り。98年オフに近鉄へトレード移籍となると、03年オフに横浜へトレード移籍。06年オフにFA宣言して巨人へ。08年オフに退団。その後は米球界に挑戦し、韓国球界、社会人野球でもプレーを続けた。13年から韓国サムスンで投手コーチ、19年から中日投手コーチ。NPB13年間の通算成績は302試合に登板し、76勝82敗10セーブ、防御率4・36。
東スポWeb

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