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「自動審判」導入 大リーグ傘下 マイナーリーグ3Aで
2022年5月20日 17時51分

 大リーグ傘下のマイナーリーグの3Aで今シーズン、コンピューターがストライクとボールを判定する「自動審判」が導入されました。
大リーグでは判定をめぐって選手や監督が退場となるケースが珍しくなく、将来、大リーグにも自動審判の運用が広がるか注目されています。

 プロ野球の2軍に当たる大リーグの3Aのうち、「インターナショナルリーグ」は今シーズン当初から自動審判を導入していて、
もう1つの「パシフィックコーストリーグ」も、今週、一部の球場で自動審判を導入しました。

 球場に設置した複数のカメラが撮影したデータをもとにコンピューターがストライクかボールかの判定を瞬時に行い、
その結果がイヤホンをつけた球審に音声で伝えられる仕組みで、球審が判定を聞きとってストライクとボールを宣告します。

 一方、バッターがスイングしたかどうかや、ファウルチップなどは従来どおり球審や塁審が判定して宣告することになっています。

 パドレス傘下の3A、エルパソ・チワワズに所属している秋山翔吾選手が先週、出場した試合でもテスト運用が行われ、
審判はこれまでと同じようにキャチャーが捕球してすぐにストライクやボールを宣告し、試合はスムーズに進行していました。

 大リーグでは、球審のストライクやボールの判定に対して選手や監督が不満をあらわにして退場となるケースが珍しくなく、
先月24日にはフィリーズの強打者、シュワーバー選手が見逃し三振した際にバットをたたきつけて判定に不満を表し、退場になりました。

 エンジェルスの大谷翔平選手も、今月16日のレンジャーズ戦で見逃し三振した際に右手を上げながら首を振って不満そうな表情を見せていました。

 大谷選手は以前、バッターとしてボールゾーンに見えるボールをストライクと判定されることについて「気にすることはないというか、気にしちゃいけないところ。
枠の外をストライクにとられたら、僕のミスではない。いいところに投げたピッチャーや、球審の癖、そこを理解したキャッチャーの配球というところだと思う」と話していました。

 大リーグでは「スタットキャスト」と呼ばれる映像解析のシステムがすべての球場で導入されていて、
中継映像でも瞬時にストライクゾーンを通過したかどうか表示されることもあり、以前から「自動審判」を導入すべきか議論されていて、
今回の3Aでの導入をきっかけに将来、大リーグにも運用が広がるか注目されています。

■球審の“通信簿”も登場

 球審の判定がたびたび物議を醸す大リーグでは、試合ごとに球審の正確性を評価する「通信簿」のようなサイトも登場しています。

 日本語で「審判のスコア」という名前のツイッターでは、スタットキャストのデータをもとに、その試合で球審がどれだけ正確な判定を行ったかを公表しています。

 例えば、フィリーズのシュワーバー選手が退場となった先月24日のブルワーズ戦では、ストライク判定の正確性が77%となっていて、平均の88%を11%下回っています。
そして、実際にどのボールが映像のデータと比べて間違っていたのかを表示し、その判定が結果的にどちらのチームに有利に働いたのかも表示しています。

 この試合の場合、ブルワーズが1対0でフィリーズに勝ちましたが、球審の判定がブルワーズに0.77点分、有利に働いたと分析しています。

 大リーグでは、アウトやセーフを判定する、際どいプレーにはビデオ判定が導入されていますが、こうしたサイトの登場によって、球審の判断が「絶対」となっているストライク、ボールの判定にも今までにない厳しい目が注がれています。

 一方で、去年、マイナーリーグの1Aで自動審判が導入された際には、明らかに低い球がストライクと判定されるケースもあり、ホームベースやバッターボックスが完全に平らでなければ判定に誤差が生じるという指摘もありました。

 自動審判の判定をめぐっては大リーグの選手会が導入に難色を示していることもあり、今後も議論が続きそうです。

NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220520/k10013635111000.html