京都新聞2022年6月8日 14:20
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 京都市教育委員会は8日、小学生が市内を走る市小学校「大文字駅伝」を当面の間、休止する方針を示した。京都の「冬の風物詩」として長年続いてきたが、練習の過熱化や児童の体に及ぼす悪影響などが指摘されていた。新たな大会を代わりに実施するとしており、今月中に開く検討会議で正式に決定する。

 この日開かれた市議会教育福祉委員会で市教委が明らかにした。

 大文字駅伝は市小学校長会や市小学校スポーツ連盟などが主催。1987年に始まり、毎年2月に開催している。全市立小が参加する予選を突破した48校の6年生384人が8区間12・385キロを走る。

 市民に親しまれている一方で、行き過ぎた練習などが以前より問題になっていた。新型コロナウイルスの感染拡大で2021年、22年と中止になったのを機に、校長会などの主催団体が駅伝の在り方を検討する会議を立ち上げ、これまでの取り組みを検証した。

 その中で、走力のある児童を集めて校外で練習を行うといった練習の過熱化▽指導者間でスポーツ医学の知識に差があり、適切な指導が実践されていない例がある▽指導や大会運営に関わる教職員の負担が大きく、人員確保が問題となっている-などの課題が挙がった。

 これらを受け、市教委は、より多くの児童が負担なく参加できる新たな大会を新設する案を策定。案によると、今年10月~来年1月に全校で1千メートルの記録会を行い、標準記録を突破した児童が参加する大会を右京区のたけびしスタジアム京都で実施するとしている。休止後に、駅伝を再開させるかどうかは未定という。

 子どもが行うスポーツの過熱化を巡っては、全日本柔道連盟が今年3月、「心身の発達途上にある小学生が勝利至上主義に陥るのは好ましくない」として、全国小学生学年別大会を廃止することを決めている。