2/21(月) 5:15配信
東スポWeb

ブルペンで投手陣にアドバイスした谷繁元信氏(左)と新庄監督(東スポWeb)

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】その姿を見ていると「あの人」の姿が思い浮かぶ。まるで外見もプレースタイルも違うが、間違いなく思考は共通している。

 就任以来、話題の中心となり続ける日本ハム・新庄剛志監督(50)。数々のパフォーマンスで取材陣、ファンを楽しませ続けている。

 ただ、すでに気づいているファンも多いと思うが、ふざけたところはなく、むしろ言動は理にかなっていて大真面目なのだ。

 秋季キャンプ早々からビッグボスは「あの人」の思考を前面に出していた。守備練習から次のメニューへの合間、自らトンボを手にグラウンドをならした。

「次の種目にいくまでに休憩させたいから。ノックを受けた後に選手には整備をさせないで」とコーチ陣に指示。この思考の根底にあるのが、新庄監督が若手時代に影響を受けた「あの人」こと、島野育夫氏(故人)の存在だ。

 島野氏は中日、南海、阪神で主に中堅、右翼を守った俊足強肩の元外野手。1973年には南海で61盗塁、3度のダイヤモンドグラブ賞を誇る名選手だ。指導者となってからは、星野仙一監督とともに中日、阪神をリーグ優勝に導いた名参謀でもあった。

 その島野氏は新庄監督がプロ3年目の92年、阪神の外野守備走塁コーチに就任。野球の基本を徹底的に叩き込んだ。

 島野氏は外野守備練習時、捕球後に定位置に戻る際、新庄選手に全力で走る必要はないと指示した。

「そんなところでハッスルせんでええ。次のプレーに備えて、ゆっくり息を整えながら戻るんや。アウトカウントや場面の確認。次の打者の打球傾向、風向きとかもあるやろ。できうる限りの準備をするんや」

 また、島野氏は相手のクセを盗む天才でもあった。「動き全体をボワッと見てると違和感に気づく時があるやろ。凝視したらアカンのや」と独特の眼力、洞察力を誇った。

 新庄監督は11日の阪神との練習試合で先発・及川のクセを即座に見破った。さらには、7日のブルペン視察で自軍の7年目左腕・加藤のクセも指摘した。

 もちろん、元来の能力もあってのものだろうが、島野氏と新庄監督の特殊能力には共通点が多い。

 ただ、島野氏は長身ではなくガッチリ体形で無口、コワモテだった。ビッグボスはスタイリッシュなイケメンで発信力抜群だ。タイプでいえば、ずいぶんかけ離れてはいるのだが…。

 ビッグボスに島野氏の影を感じているプロ野球関係者は、僕だけではないはずだ。

☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。

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