茶髪を黒くしてヒゲもサッパリと
 この記者が続ける。

「2人は日ハム時代にいわゆる“オラオラ系”同士でツルみながら意気投合し、一部の若手が近寄り難い雰囲気を作り出すこともしばしばあったのは周知の事実。だから巨人で“再合体”すれば、中田も西川もまた悪い方向へ進んでしまうのではないかという懸念もあった。中田とのかつての関係性を憂慮していた某巨人の主力は『上の決定事項なのかもしれないけれど、西川は絶対に獲らないほうがいいと本気で思う』と一部の巨人番記者に思わず耳打ちしていたぐらいです」

 しかし、旗振り役の原監督は西川獲得にこれほど球団、チーム内から異論が噴出しても最後まで諦め切れなかったようだ。

「原監督は、周辺に漂う否定的なムードにはほとんど耳を傾けようとはしなかった。むしろ西川が茶髪を黒くしてヒゲもサッパリと剃り落とし、“巨人入り”をアピールするかのような姿勢を一時見せていたことで、“これでウチに来てくれるだろう”とタカを括っているところがあったようだ」(前出の球団関係者)。

 ところが終わってみれば、西川の新天地は楽天で決着がついた。22日朝、スポーツニッポンが発表直前に報じるまで、どこにも明るみに出なかった電撃入団。泡を食う格好となったのは巨人・原監督であろう。

巨人を上回る条件
 別のスポーツ紙担当記者は、「いま思えばですが……」と言って、こう続ける。

「巨人側と条件面でなかなか折り合わず、交渉が難航していたタイミングで密かに楽天が割り込み、巨人を上回る条件を用意して西川を猛アタックで口説き落として“横獲り”に成功したのでしょう。巨人サイドは交渉で難航していても、他球団は西川獲得に動かないだろうとタカをくくり、条件面を出し渋っていたところもあったようです」

 結果として、巨人は西川にソデにされてしまったわけだ。

「主要メディアを通じて当初は『今オフ、FAの選手は獲得しない』という方向性を打ち出しておきながらアッサリと『ノーテンダーFAはFAにあらず』という都合のいい解釈で西川獲得に動き出した。ネットやSNS上では巨人ファンからも猛批判を浴び、その挙げ句に予想していなかった楽天に奪われるという、まさに最悪の結末。原監督は内心、怒り心頭と聞いています」(同)

 今オフに巨人が獲得を発表した支配下の新戦力はメジャー通算28勝の右腕マット・アンドリース投手(前マリナーズ)と、米独立リーグで2年連続MVPに輝いたアダム・ウォーカー外野手の2選手。

 原監督の構想としては日本での実力未知数の新助っ人2人に西川も加われば万々歳だったのだろう。しかしながら願い叶わずの指揮官の失望とは対照的に、巨人内部では球団、チームの大半が西川の獲得失敗に胸を撫で下ろしており、安堵が広がっているのだという。

デイリー新潮編集部