12/30(木) 6:01配信
デイリー新潮

これは運命なんだ

編成権まで持つ全権監督の面目丸潰れか

 再び蓄えたあごひげが巨人との“決別”を強調しているようにも見えた――。ビッグボス・新庄剛志監督と稲葉篤紀GM率いる日本ハムを自由契約となり、楽天入りが決まった西川遥輝外野手が25日、オンライン上で入団会見を行った。当初は巨人の原辰徳監督が号令をかけ、西川獲得に王手をかけたと言われてきたが、ものの見事に失敗したという。その顛末についてレポートする。

 西川は会見で「また野球ができることに非常に喜びを感じている。決まった時は本当にほっとした」とコメント。年俸は今季の2億4000万円から65%の大幅減となる8500万円(年俸はいずれも推定)で、背番号は6に決まった。

「(楽天の)石井(一久)監督から『これは運命なんだ』と言ってもらえたことが僕の中では決め手でした」とも明かした。4年連続でチーム盗塁数がリーグワーストとなっている楽天にとって西川の走力は確かに大きなプラス要素になる。石井監督兼GM自らが口説き落としに成功したことで、チームはピースを埋めた格好だ。

 ただ、そもそも当初の段階で西川は巨人入りが半ば“既定路線”とみられていた。12月6日付の複数の朝刊スポーツ紙では、巨人が日本ハムから自由契約となっていた西川の獲得調査に乗り出している、と不自然な形でほぼ横並びになる形で一斉に報じられていたからだ。

西川は梶谷の代役にうってつけ
 思わず大本営発表かと見まがう記事のカラクリは「巨人側がリークした観測気球」とみられており、どうやら水面下では全権監督を担う巨人原辰徳監督の大号令の下、西川獲りのシナリオが着々と進められていたようだ。

 関係者の話を総合すると、巨人側は当初、近年固定できていないリードオフマン(1番打者)の有力候補として西川に白羽の矢を立てていた。

 29歳と若い上に今季24盗塁をマークして4度目の盗塁王に輝いた走力と通算3割8分の高い出塁率を評価。西川が今オフに日本ハムから、球団が来季の保有権を放棄するノーテンダーFAとなった直後から原監督の“ツルの一声”で獲得に向けて動き始めていたという。

 球団関係者によると、

「懸案の『1番打者の固定』が図れず苦しんだ原監督は、西川をかなり欲しがっていた。昨オフに4年契約でFA移籍して来た梶谷隆幸外野手は1番も任されていたものの、左太もも裏の違和感、右手甲の骨折など故障を繰り返し、9月には腰痛も発症して再三に亘って離脱。10月にはその腰を手術して現在もリハビリ中のため、開幕に間に合うか微妙なところもあり、『西川は梶谷の代役にうってつけ』という全権指揮官の断が下されていた」

 もっとも、球団内も一枚岩ではなかったという。

「その一方で梶谷がリハビリを終えて一軍に合流する場合、果たして西川と共存を図れるのかという疑問の声が球団内や現場サイドから次々と上がってきたのです」(同)

獲得の「別の側面での悪影響」
 この球団関係者が続ける。

「梶谷に代わって、生え抜きの松原聖弥外野手が台頭し、今季は主に1番を任されていました。同じ外野手の1番候補が飽和状態となっているにもかかわらず、走力は優れているとはいえ、弱肩で貧打の西川をわざわざ獲りに行く必要性があるのかと球団やチーム内の多くが首をかしげていた。外野手は他にも主力の丸佳浩、それに八百板卓丸や重信慎之介らが控えており、亀井善行が今季限りで引退したとはいえ、メンツは揃っている。繰り返しになるが、西川獲得の必要性があったのか、疑問符がいくつもついてしまう」

 それだけではない。西川の獲得にはチーム内から、「別の側面での悪影響」も心配されていた。同じ古巣・日本ハムでチームメイトに対する暴力問題を引き起こし、今年8月に無償トレードで巨人入りした中田翔内野手の存在があったからだ。

「西川は日本ハム時代、中田のことを兄貴分として慕っていました。言わば“中田軍団”の参謀格。巨人移籍が決定的と一時ささやかれていた今月上旬には中田も『遥輝、ホンマに来るの?』と一部メディアに西川の下の名前を口にし、逆取材していたほど昵懇の関係です」

 と、スポーツ紙担当記者。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/4c9df72645072f563f79ca012de054df1f76edda